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鍵盤に乗せたラブレター
【同性愛♂ 官能小説】

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思い込み-4

「冬樹っ!」
 勇輔は冬樹の頭を抱えて無理矢理自分のペニスから口を離させ、焦って枕元に置いていたティッシュを何枚も手に取り、彼の口を拭った。「冬樹、む、無理すんなって言っただろ!」
「だから大丈夫だって」冬樹はにこにこ笑っていた。
「まずいだろ、こんなの……」勇輔は申し訳なさそうな顔をして、新たに掴み出したティッシュで冬樹の顎に垂れた自分の精液をごしごし拭き取った。
「あったかくて気持ちいいよ。それに、ちょっとノンアル・ビールに似た味がする」
「な、何言ってんだ」勇輔は赤くなった。
「だから悪くない」
「悪くないって……」勇輔は小さくため息をついて眉尻を下げた。

「勇輔は気持ちよくなかった?」
「そ、そりゃあ、射精したからには気持ちよかったに決まってるだろ。でもよ、」
「でも?」
 勇輔は小さな声で言った。「俺、イく時はおまえにしがみついてた方がいい」
「え?」冬樹は勇輔の目を見つめた。
「俺だけ、しかもおまえの口に出すだけなら、一人でやるのとあんまり変わんねえよ」

 しばらく黙ったまま冬樹は勇輔の顔を見つめていた。それから、少し悲しそうな顔をして小さな声で言った。
「確かに……」
 冬樹はうつむいた。
 勇輔は慌てて言った。「いや、お、おまえのフェラはめっちゃ気持ちよかったぞ。で、でもな、やっぱそこでフィニッシュにしたくねえ……」

 またしばらく黙ったまま何か考える風にしていた冬樹は、くいっと顔を上げて微笑んだ。「なるほど……」
 そして冬樹はベッドの上に正座をし直して、両手を膝に置いた。「わかる。わかるよ、勇輔」
「冬樹……」
「勇輔の言いたいこと、わかるよ」
「わ、わかるだろ?」
「うん。オトコって、出せば終わりだから、その瞬間にこだわりたい、っていうことなんでしょ?」
「そ、そうだ」
「わかるわかる。考えてみれば、僕もそう。自分一人でやる時って、ベッドで枕や毛布にしがみついてるから、きっと僕もフィニッシュは勇輔と抱き合っていたい、って思う」
「そうだろ?」
「うん。ごめんね、出させちゃって」冬樹は申し訳なさそうな顔をした。「イく前にやめるべきだったね」
「い、いや、身体は満たされたからおまえが謝ることはねえけど……」
「なんか、エッチな小説やビデオによく出てくるシチュエーションだから、ついやってみたくなっちゃって……」
 勇輔はにっこり笑って冬樹の頬を両手で包み込んだ。「俺たちのスタイルを見つけようぜ。いろいろやってみてよ」
「そうだね」冬樹もにっこり笑った。


 勇輔と冬樹はベッドに並んで横になっていた。仰向けの勇輔に寄り添うように冬樹は横向きでその白い身体を密着させていた。
 勇輔が顔を冬樹に向けた。「冬樹は一人で、枕にしがみついてやる時、そのまま布団の上に出しちまうのか?」
 冬樹は恥ずかしげに言った。「い、いつもナイロン袋被せて、ゴムで止めてる」
「おお! なるほどな」勇輔は大声を出した。「ナイロン袋なら店にたっぷりあらあ、俺も今度からそうしよう」
「だめ」冬樹は勇輔を睨んだ。
「えっ?」
「一人でやっちゃだめ。その時は僕も一緒にいたい」そしてその小柄な少年は微笑んだ。
「そ、そうだったな」あはは、と笑って勇輔は頭を掻いた。

 勇輔が冬樹に身体を向けた。
「じゃあよ、こないだプールでやった時みてえに、おまえと俺と抱き合って腹に出すか?」
「え?」
「おまえまだ治まってねえじゃねえかよ」
 勇輔は冬樹のペニスを指で弾いた。
「痛っ! 勇輔、乱暴」
「おまえのこれ、身体に似合わず逞しいな。太いし、長いし……」
「そ、そうかな……」
「イく時は抱き合うことにしてだ、まずは俺もおまえの咥えたい。いいか?」
 冬樹は赤くなって頷いた。「……うん。いいよ」
「初めてで、うまくできるかわかんねえけど。痛かったら言うんだぞ」
 冬樹はコクンとまた頷いた。


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