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鍵盤に乗せたラブレター
【同性愛♂ 官能小説】

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男女交際-3



 明智家の夕食時。
「ねえ、兄貴、」
 ちゃぶ台に向かったうららが、隣に座りご飯を豪快に口に掻き込んでいた勇輔に顔を向けた。
「なんだ」
 勇輔は、口をもぐもぐさせながらその妹の顔を見た。
「おべんと、ついてるよ」うららは自分のほっぺたを指した。
 勇輔は、自分のほっぺたの同じ場所についていたご飯粒をつまんで口に入れた。
「で?」
 うららは小さく頷いた。「ちょっと相談したいことがあってさ。後でお風呂から上がったら兄貴の部屋に行くから」
「わーった」勇輔は茶碗に残ったご飯をがふがふと口に詰め込んだ。


 勇輔の部屋に入ったうららは、床に腹ばいになって雑誌を読んでいたその兄を見下ろして、持っていた缶入りサイダーを差し出した。
「お、済まねえな」
 勇輔は起き上がり、その場にあぐらをかいてすぐに受け取った缶のプルタブを起こした。
 うららも勇輔に向かい合って座り、自分の缶を開け、一口飲んだ。

「で、話って?」
 勇輔が先に言った。
「うん。あのね、デートの時、男の子って、何されたら嬉しいのかな」
「何だと?! デートだあ?」勇輔はびっくしりて目を見開いた。
「そうだよ」うららは缶に口をつけたまま横目で兄を見た。
「相手は?」
「同級生の男子。冬樹」
「秀島、敗北!」勇輔は独り言を言って、口を押さえ、くっくっく、と笑いをかみ殺した。「で、おまえいつから付き合ってるんだよ」
「今日」

 ぶほ! 勇輔の口の中で膨張した炭酸が噴き出した。

「何よ、汚いな!」
 うららは床に置いてあったティッシュをざかざかと取り出して、勇輔の口からあちこちにこぼれたサイダーの飛沫を拭き取った。
「きょ、今日かよ!」
「うん。今日。昼間コクったらOKしてくれた。『僕も気になってた』って言ってくれたんだよ」
 うららは嬉しそうに持っていた缶を両手で包み込んで頬を赤くした。
「へえ」
 勇輔は肩をすくめて、缶の中身をごくごくと飲んだ。

 口を拭って、勇輔はうららの顔を見た。
「本当に好きならとりあえず話して、お互いのことをよくわかるべきだな」
「話す話題がかみ合わなさそうなんだよ」
「なんじゃそりゃ」
「あたしとは違う世界に住んでるような男子だし」
「なんでそんなやつにコクる?」
「しょうがないじゃん。好きになったんだから」
 勇輔は呆れたようにため息をついた。
「ま、その時になれば話せるんじゃねえか? あれこれ。おまえおしゃべりだから沈黙で気まずくなるこたねえと思うぞ」
「褒めてるようには聞こえない」うららは上目遣いで勇輔を睨んだ。
「褒めてねえし」

 うららは小さなため息をついた。
「やっぱり最初はそっからだよね」
「なんだよ、おまえ初デートでキスしたりアレしたりしたいのかよ」勇輔は自分で言ったその台詞に少し赤面し、ばつが悪そうにサイダーを一口飲んだ。
「そんなこと言ってないでしょ」うららは兄を斜に見て、軽蔑したように言った。
 勇輔は少し真剣な表情で言った。「でも気をつけねえと、あっちから身体を触ってきたり、いきなりキス迫ったりすっかもしれねえぞ。そいつをあんまり調子に乗らせねえことだな。挑発的な行動はNGだ」
「兄貴は初デートでもそんな気になるの?」
「相手次第だな」
「ゆくゆくはエッチしたい、って思うよね、男だし」
「だ、だから相手次第だろ」勇輔は焦ったようにそう言うと、残っていた缶入りサイダーを飲み干した。


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