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鍵盤に乗せたラブレター
【同性愛♂ 官能小説】

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ときめき−二人の出会い-7



 その夜、冬樹は自分の部屋で、黒いフェイクレザーのカバーが掛けられた少し大きめの手帳を開き、スケジュール用レフィルの今日の日付に赤ボールペンで丁寧に丸をつけた。手帳を閉じて机の端に置いた冬樹は、ピアノの楽譜が挟み込んであるクリアファイルを机の引き出しから取り出した。そして、その間に挟まれていた写真をそっと抜き出した。
 それは定期的に学校から発行される通信の切り抜きだった。主に校長の訓話や行事の様子、部活動の成績などが紹介されるものだ。
 冬樹は五月に発行された通信からこの写真を切り取っておいたのだった。彼はその写真をじっと見つめてごくりと唾を飲み込んだ。
 写真には、水着姿の男子生徒の逞しい全身が写っていた。
 それは春の大会で水泳部二年生の明智勇輔が100mバタフライ競技で優勝した記事のものだった。

「明智……勇輔先輩……」

 冬樹は独り言を口にして、その写真をじっと見つめていたが、しばらくすると右手で胸を押さえ、苦しそうに息をしながら、その切り抜きを元通り楽譜の間に大切そうに挟み込んだ。


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