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〈亡者達の誘う地〜刑事・銭森四姉妹〉
【鬼畜 官能小説】

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〈狂宴・後編〉-6

『春奈、どうやら優愛は頭をかち割られてしまうようじゃ……可哀想だが仕方が無かろう……御主人様に気に入られなかったんじゃからなぁ?』


意識をどうにか保っているのは景子だけでは無かった。
だが、春奈の“それ”は、戦う士気を奮い起たせる景子のとは違い、命を弄ぶ御主人様たるサロトに、失神するや頬を叩かれて意識を戻される事で、保てているだけに過ぎない。


『ほぉれ、景子の奴が狼狽えておるぞぉ?あんな可哀想な姉妹を道連れにしおってからに、春奈は悪い娘じゃて……ブッフフフ……』

「ぶふぅッ!!ふ…ぷうぅ!!」


愛しそうに抱き締めてくるサロトの胸の中で、春奈は懸命に首を振り、優愛の助命と景子への凌辱を止めて貰うよう哀願していた。

景子を弄び、奈和を壊し、優愛を凌辱してもまだ足りない底無しの欲望に、心の底から春奈は怯えきってしまっていた。

美津紀や麻里子のように、いっそのこと狂ってしまえば、どれだけ楽になれるか……そんな事を思っても、それは重大な過失を犯した責任から逃れる為の、卑怯な弱音でしか無かったし、狂おうと思って狂えるほど、人の心は弱くは出来ていない……。





(もう止めてぇ!!止めてッ!!お願い止めてぇッ!!)


春奈の前では、景子は必死に背中を曲げて、背後の優愛に群がる部下達を威嚇するように、見回して叫んでいる。
それは戦闘不能になるまでに傷付いてしまった猛獣が、立ち上がる事も出来ないまま、もはや用を成さない牙を剥いて、襲い来る獣に咆哮しているようでもある。

その手負いの猛獣を手懐けようと、タムルは専務から黒光りする物を受けとると、それを両手で広げ、眼下で藻掻き続けている“牝獣”の目の前に突き付けた。


『ねえ貴女、コレが何だか分かるかしら?』

「ッ!!!」


タムルが握っている物は、見るからに変質者しか好まないと思える黒革のマスクだった……両目の部分にはファスナーが付いており、鼻が当たる部分には膨らみがあり、呼吸を妨げない程度に小さな穴がポツポツと空いている……景子は初めて見る顔面拘束具に思わず怯み、春奈は見た事のあるその“マスク”に、ナイフを突き立てられたような痛みを胸に受けた……。


(……あ……あれは…麻里子お姉さんの……)


間違いなく、あれは麻里子が被らされたマスクだ……後頭部の部分にあるファスナーに、キラキラと茶色に光る頭髪が、哀しくもそれを証明していた……麻里子に用いられた責め具が、今度は景子に襲い掛かろうとしている……。


『コレはねえ、麻里子が被ったマスクなの。フヒヒッ…きっと…きっと貴女も似合うと思うわぁ?』

「ふッ!?ふざけんじゃねえッ!!だ…誰がそんな…ッ!!」


いくら拒絶の意思を叫ぼうが、景子はタムルに飼育される運命にある。
部下達に両肩と腕を掴まれ、乱れた髪をポニーテールのように握られると、その忌まわしきマスクは景子へと向かった。



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