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逃亡
【その他 官能小説】

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逃亡-30

「んふぅ…」
 陰裂を座席で擦られ、瑞紀は軽い喘ぎ声をあげた。恥ずかしい愛液が座席の上に濡れた線を描く。
 緋村に背中を支えられながら、瑞紀は腰を持ち上げ、続いて観念したように目を閉じ、二本のバイブの上にゆっくりと腰を沈めていった。
「あぁっ!」
 バイブが二つの穴に入っていく。瑞紀は軽いアクメを感じ、座席の上で声を上げてのけぞった。
 濡れた膣と肛門は座席についた二本のバイブを容易にくわえ込んだ。二本のバイブを完全に体内に収めて座ると、クリトリスに丸い突起物が当たるのに気がついた。
 緋村がバイクのエンジンをかけた。途端に、二本のバイブが動き出し、瑞紀の二つの穴をかき回す。
「いやぁ…、かきまわさないでぇ!」
 さらに瑞紀を追い詰めるかのように、敏感な芽に押しつけられていた突起が震え出す。
「あうっ…、あうぅ…、いやぁ!」
 どういう仕掛けになっているのかわからないが、二本のバイブと敏感な芽に触れている突起は、バイクのエンジンと連動しているらしい。
「ん、あぁぁ!」
 アクセルをひねり、エンジンの回転数を上げると、それに合わせてバイブと突起の震動も強く、激しくなっていく。瑞紀の身体に絶え間ない刺激を与え、容赦なく高みへと持ち上げていく。
「あぁ…、も…、もうだめぇ…」
 もう少しで絶頂を迎える、まさにその時に、緋村はバイクのエンジンを切ってしまった。同時にバイブと突起の動きも止まる。
(えっ、どうして…、もう少しで…)
 期待を逸らされたような思いが脳裏をよぎったことに、ハッと気がつき、瑞紀は恥ずかしさで真っ赤になった。これも媚薬のせいだろうか、それとも自分自身の身体が淫らなものに変わってしまったのだろうか。
「ふふふ、もう少しでイケたのに、残念だったな。」
 瑞紀の心を読んだように、緋村が嘲笑う。瑞紀は消え入りたいほどの恥辱に身を震わせた。
 バイクが走り出した。
 裸でバイクに乗り、公道を走る恥ずかしさを感じたのは最初の数分だけで、すぐにそれどころではなくなった。バイブ自体の動きに加えて、路面の凹凸が体内に埋まったバイブを通して微妙に性感帯に伝わってくる。媚薬のせいで、普段よりずっと敏感になっている身体にとって、それは性感地獄だった。
 マンホールや道路の連結部などにバイクが乗り上げると、座席の上でヒップが大きくはね上がった。すごい勢いでバイブが引抜かれたかと思うと、次の瞬間には全体重をかけて再び貫かれる。
「あ…、あぁ…、あぁぁっ!」
 その瞬間、瑞紀は絶頂を迎えた。
 しかし、バイクは走り続ける。
「うぐっ、んあぁ!」
 バイクが左折する。うごめくバイブが膣の側壁を擦り、充血し膨れきったクリトリスが突起に押しつけられた。またもや、瑞紀は絶頂へと突き上げられた。
 それでもバイクは走る。再びバイクがマンホールに乗り上げ、女陰から突起が抜けた瞬間、瑞紀は快感のあまり、座席の上でおもいきりのけぞった。その勢いで体重が後ろにかかり、全体重をかけてバイブが肛門に刺さった。
「あひぃ!」
 信じられないような刺激に、瑞紀はまたもや果ててしまった。
 瑞紀のイキっぱなしのを姿を道行く人たちに晒しながら、バイクは疾走する。

 新潟市郊外で、全裸の瑞紀を乗せたバイクが疾走していたことは、十数人ものドライバーが目撃している。中には目を奪われ、追突事故を起こした者までいた。野上と西岡は、目撃者の一人である山口雅道という男に話を聞いた。
「女性の腕は男の腰に回した状態で、手首には手錠がかけられていました。目をつぶり、眉根を寄せてなにやら苦しそうな様子でしたな。」
 山口は小さな町工場を経営する初老の男で、町内会長や地域の民生委員などをやっていると言う。
「それで、後を追いかけたんですけどね。追いつけなかったんですよ。」
 山口が残念そうに言った。
「そうですか…」
 西岡はがっかりした様子で野上の顔を見た。その時、ふいに山口が立ち上がり、窓際に駆け寄った。二人の刑事は、彼が何か重要なことを思い出したのかと期待し、後を追った。
「森橋、森橋、森橋甚三郎をよろしくお願いしたします。」
 外の道路を選挙の宣伝カーが、候補者の名前を連呼しながら通り過ぎ、山口は宣伝カーに向かって大きく手を振っている。
「なんだ…、選挙か…。」
 野上が露骨にがっかりしたような顔を見せる。その様子が山口が見とがめた。
「刑事さん、『なんだ』ではありませんよ。今回の総選挙で勝利すれば、森橋先生は総理になられるかもしれないんですよ。」
「はぁ…」
 野上は気の抜けた声で返事をする。保守党の後援会長だという山口は、さらにボルテージを上げて演説を始めた。
「先生が今国会で、政治団体特別規制法を成立させましたからな。これでPFFTのようなけしからん連中も、もう勝手なことができないでしょう。」
「野党は、戦前の治安維持法のような弾圧立法だと主張しているようですがね。」
 つい野上が逆撫でするようなことを言ってしまった。彼自身としては野党の主張の方がうなづける。しかし、それは山口をムキにしただけだった。
「そうした反対を押し切れるリーダーシップが重要なのです。
しかも、最大のライバルだった元村代議士も亡くなった今、総理は森橋先生以外にはいない!」
 山口の演説はさらに続きそうだったが、息継ぎをするタイミングを見計らって西岡が間髪を入れずにお礼を述べ、二人の刑事は早々に山口の工場を後にしたのだった。


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