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冥土の土産
【SF 官能小説】

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アリカ……そして-4

俺は同じ病室にいた。だが俺には一切器具がついていなかった。それどころか俺は全くの裸でベッドに仰向けに横たわっていた。
 そしてあのミリアとトモミが看護師の白衣を着てにこやかに俺に微笑みかけていた。ミリアは俺の上に跨って立つと白衣を捲くった。彼女は何も履いてなかった。
 ミリアが腰を下ろそうとしたとき、俺はペニスがいきり立っていたにも拘らず膝を立てて拒んだ。待て、これはどういうことだ? はっきりさせるまで俺はお前達とセックスなんかしない。
 ミリアはトモミと顔を見合わせたが頷き合うと俺に言った。
「しかたないわね。それじゃあ説明しましょう。あなたとはセックスしなければ私たちの任務が終わらないのだから」
 ミリアは遠くを眺めるような目をして俺を見つめた。
「海野広さん。あなたの時代はどんな時代だったかしら。そう……国民の過半数が引きこもりの状態で国家存亡の危機にあった時代だった。
 人々は近所付き合いもせずに生きて行くことができた。学校も職場も崩壊し、すべてオンラインで用をすませることができるようになったせいで、外出したり人付き合いをする必要性がなくなっていったのでしたよね。
 そこで国は全く消滅してしまった地域コミュニティを再生させるために、国家特命公務員を新たに置くことにしました。
 その名前は地域再生工作及び組織育成指導員……通称『組織員』と言われる人たちだった。この人たちは通常の公務員とは全く違う観点で選ばれた特別な試験に合格していた。
 ペーパーテストでも一定の高いレベルで振り分けられたけれども、集団の中で育った経験があり人間関係に対しては特別の才能を持つことが要求されたのです」

 俺はそんなことはもちろん知っていることだったが口を挟まずに聞いていた。

「国家試験を合格した組織員はさらに派遣先の地域でもその地域独特の文化習慣を理解するための地域採用試験を受けて漸く任地に赴任することができました。
 そしてすることは、その地域住民の中に入り込んで、地域の人間関係を再生すること。これはとても難しいことなのに、あなたたちはそれを次々に成し遂げて行きました」

 俺はいらいらしてきた。まだまだ続くのか? 早く結論を言えとせかしたくなった。こんなわかりきったことを説明されるのはかなり苦痛なのだ。

「あなたたちは町内会や村社会、子ども会、祭りや行事を次々と復活させました。その中でも海野広さん、あなたほど優秀な組織員はいなかったのです。あなたの前にも後にもです」
 そんなこと言われても俺は照れるしかない。決められた仕事をしてきただけだから。
「組織員にはかなりの権限があり、また人々から尊敬される立場にありましたが、その反面決して自分は表に出ずに周囲を立てる自己犠牲的な面がありました。
 その為、中には立場を利用して腐敗して行く組織員も数多くでて来ました。組織員も人間なので、名誉欲や権力欲や性欲が人並みにあります。中でも性欲はどんな人間にも平等にあるもので、これが組織員を続けて行く上で一番の障害になっていたのです。
 何故なら組織員は仕事の関係上、異性の性的誘惑を受けることが非常に多いからです。
 あなた以外にもそういった誘惑を撥ねつけて職務を全うした優秀な組織員がいましたが、その殆どは信仰を持った人たちだったのです。
 つまりその組織員は現世で我慢すれば来世で報われるという確信を持っていたことになります。
 だがあなたは信仰心もないのに、とにかく誘惑に負けずに職務を全うしました」

 当たり前だ。誘惑に負けたら仕事を失う。それが嫌だったから必死に耐えたんじゃないか。

「まあ、聞いて下さい。後世……つまり未来ではあなたは伝説の組織員になっているのです。そこで、どうしたらあなたのような優秀な組織員になれるのかという問題が起きました。」

 そんなこと言われても人はそれぞれ個性があるんだから、俺と同じになるなんて無理だと思うぜ。

「その通りです。でもそれでは国としては困ります。そこで私たち国家貢献者人生調整員という特命公務員の部署が創設されたのです。
 そして実は、あなたの時代にもこの部署が存在していたことにして、あなたはそのお陰で優秀な組織員になれることができたという風に説明することにしたのです」

 はあ? な……何を言ってるの? 俺の時代にはそんな部署なかったぜ。

「未来社会には来世を信じる信仰をする者など全くいません。ですから現世で我慢しても誰も褒めてくれないとみんな思ってます。
 私たちは来世の代わりに、職務を全うした者に今迄我慢して来た性欲を満足させるミッションを実行する役目を任されたのです。」
 
 それが今までの連続のセックスサービスなのか?

「海野広さん、あなたの今までのミッションの全部の内容は未来の私たちの世界で公開されます。
 伝説の『神組織員・海野広氏』は実はこの秘密のミッションのお陰で、かくも偉大な足跡を残すことができたのだと。
 だから、組織員の諸君。性的な誘惑は悉く我慢して、人生の最期にその分を取り戻そう。君たちも海野広になれる! まあ、そういうことです」

  


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