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THE 変人
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釣り命!!-3

 翌朝3時半。目を覚ます海斗。というか釣りが楽しみで寝られなかった。準備は万端だ。すでに夜の内に車に積み込んでおいた。ささっと着替え家を出る。
 「うおっ…!」
凄い雨風だ。一瞬の内にびしょ濡れになってしまった。さすがにヤバイかな…そう思った。
 「迷ったら終わりだ!ゴ・ゴ・ゴー!」
迷いを振り切り車に乗り走らせる。かなりの雨だ。ワイパーが追いつかない。
 「クソ!ワイパーがもぎれっちまうよ!」
悪戦苦闘しながらも海へと向かう。 
 何とかいつもの駐車場についた。いつもは何台か車がすでに停まっているが、今日は1台も見あたらなかった。
 「よし、一番のりだ!…もしくは誰も来ないか…。」
後者の可能性がかなり高い。しかしプラス思考の塊はめげない。
 「誰も来なきゃポイント攻め放題じゃん!ラッキー!」
海斗は車を降りた。
 「ぐおっ!?」
更に雨風が強くなったようだ。体ごと飛ばされそうなぐらいの暴風雨にくじけそうになる。
 「だ、だらしねぇ。これしきの雨で!こんだけ雨降れば酸素が海面に入って魚も活性するってもんだろ!行くぞ!」
雨具を身につけてはいるが、もはや意味を為さないほどの雨にも負けずに道具を担ぎ堤防へ歩く。あまりの風に体がフラフラする。しかしメンタルは折れない。
 「くそっ!負けねーぞ!?台風、ファッキュー!!」
中指を空に突き立てる。そして一人でブツブツ言いながら何とか堤防に辿り着く。幸いこの堤防は波止めがあるため高波にさらわれる心配は少なめだ。さらわれる可能性は敢えて考えなかった。
 「最大のポイントゲットだぜ!ついてるついてる!」
そう思わなければやっていられなかった。風に悪戦苦闘しながらも仕掛けをセットして竿を握る。
 「まずはカレイ狙いだ!うりゃ!」
アゲインストの風たが重い錘がついている為にそこそこ飛んだ。次はアジを釣る為のサビキ仕掛けだ。こちらは錘が軽くフルパワーが必要だ。気合を入れて竿を振る海斗だが前に投げた仕掛けが後ろまで流された。
 「クソッ…!」
寒い。ハンパなく寒い。夏だというのに鼻水が出る。
 「負けらんね〜!神よ、俺にパヲーン!!」
パワーを、と言ったつもりが寒さで口が回らなかった。結局また背後に流されてしまい投げるのを諦め堤防ギリギリの足元による糸を垂らさした。
 「魚だってこういう時は障害物の廻りに集まるもんさ。」
海斗は何とか煙草に火をつけ一服する。濡れそうになるは火種を必死で守る。
 「こういう時に結果を出してこそ真の釣りがキチだぜ。釣るぜ、大物!!」
アジが釣れればそれを餌にしてカンパチを狙うつもりだ。海斗はアジがかかるのをひたすら待っていた。 


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