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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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11.転獄-5

「もう……、いいでしょ?」
 静止を続けながら問う。
「いちいち言ってんじゃねえよ。俺がいい、っつーまでずっとやんだよ」
 悠花をからかいながらも、竜二はタバコの煙を吐き出し、チラチラと何度かスマホを操作する健介を見る。何かを待っているようだった。
「終わったぜ」
 健介が言うのを、待ってましたとばかりに、
「やったじゃん。いくらになったんだ?」
 と食らいつく。
「かなりくぐらせたから、抜かれた分差し引いて、300とちょっとくらいじゃね」
「……んだよっ、社長あんまり金もってねぇな。5000万くらいいけんのかと思ってたぜ」
「無茶言うなよ」
 苦笑いする健介に向かって、あっと思いついた表情を浮かべながら、
「BMあんじゃん。あいつ売ったら結構な額になるだろ?」
 と言ったが、健介が両手でバツの形を作る。
「やめとけ。車はブツが残るし足がつきやすい。……目的の額まで行ったんだからヨシとしようぜ。調子に乗ると、下手打つぜ?」
 冷静な健介に諌められて、竜二は舌打ちをする。
「……おい、金が手に入ったんなら、もういいだろ。解放してくれ」
 二人の会話を聞いていたバゼットが訴える。
「うっせーぞ、コラァッ! もっと金持っておけよ、ああ?」
 竜二の期待を裏切ったことになるバゼットへ向かって、スタンガンを持って歩み寄ろうとするのを、立ち上がった健介が肩を叩いて止める。
「まぁ、続きがあんだからいいだろ?」
「……じゃ、もういいのか?」
「ああ。どっちかっつーと、お前はそっちのがメインだったんじゃね?」
「ぎゃははっ、分かる?」
 機嫌を直してバゼットの方に向かっていくのをやめた竜二が回れ右して再び悠花の方へ戻ってくる。
「やっ……。なに……?」
「おいおい、何勝手にポーズやめてんだよ。あぁ?」
「だって……」
 一瞬竜二の興味が自分から外れて、自然とポージングを解除していたのを、ギラつく目で非難しながら更に近づいてくる。
「こりゃぁ、オシオキが必要だぜぇ?」
 スタンガンのスイッチを押して、火花の音を聞かされる。女の自分にそんな凶器を使うだろうか? 信じがたかったが、竜二の嗜虐的な顔を見ていると、容赦無い暴力を振るうことで興奮を覚えるタイプの男に見える。
「ちょっと……、来ないで」
「おい! やめろっ。金を取ったんだから手を出すな!」
 震える声で後ずさりする悠花との距離を更に詰めていく竜二に、もう一度バゼットが声を放って制止してくる。
「……別に金を出す代わりに」健介が床に捨てられていたバゼットの財布を拾い上げ、カードの以外に何が入っているのかを確認しながら、「カノジョに手は出さない、なーんて、一言も言った憶えはないぜ?」
「おい……、何する気だ」
 竜二がパーカーを脱ぎ、蛇柄の刺青が肩から手までずっと続く異形のタンクトップの上躯を晒しながら、
「レイプだよ、レイプ。おめーがあまりにも金出さねぇからよぉ、腹いせにヤッちまうってことだ」
 とスタンガンもベッドにポンと投げて、拳を重ねながら骨を鳴らす。
「やめろっ!」
 バゼットが叫ぶ近くで、ベッドに腰掛けていた健介が財布を代わりにスタンガンを拾い上げ、竜二の背中に声をかける。
「使わねえのか?」
「へへっ。スタンガンで脅すよりも、素手でガチで襲ったほうが楽しいだろ?」
「ま、好きにしろよ」
 バゼットは好虐に色づいた竜二では全く話にならないと分かり、比較して冷静な健介の方へ痛む体を捻りながら、
「おい、頼む。ここを出たらもっと金は出す。やめさせてくれ」
 と、竜二を止めるように頼んだ。
「社長さんも薄々分かんだろ、この状況。アンタがいくら出したって、アイツは悠花ちゃんを襲うつもりマンマンだ。諦めろよ」
「来ないでっ!」
 後ずさりして壁を背負うまでに追い詰められた悠花が、バッグを竜二に投げつけながら抵抗する声が聞こえて、チラリとそちらを見やり、しかし平然とタバコを吸いながらベッドに横臥して二人の様子を見守っている。
「それに――」健介が表情一つ変えぬ傍観を決め込みながら「アンタがそこまで命がけで守ろうとしたってさ、その大事な悠花ちゃんは……、そこまでの女じゃないかもしれないぜ?」
 悠花は正面から迫る竜二に相対しながら、その向こうから聞こえる健介の発言に心臓を刺すような痛みを感じた。


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