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LOVE AFFAIR
【アイドル/芸能人 官能小説】

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11.転獄-4

「い、いい……」
 恐怖で声がかすれる。悠花の固辞に唇の端を曲げて笑うと、自分のポケットからスマホを取り出す。これもパンクした債務者名義で作らせたいわゆる「飛ばし携帯」だ。その携帯から、振り込ませた口座の金を他の口座へ分散させていく。
「けけっ……」
 財布の札入れに入っていた一万円札を全て抜き取りポケットにしまうと、もうバゼットに用はない、とばかりにテーブルに腰掛けていた竜二が立ち上がって、スタンガンを片手に悠花の方へ近づいてきた。
「へぇ……、やっぱナマで見ると、超カワイイねぇ。おデートを邪魔して悪かったなぁ。メシ食ってから、一発ハメに行くところだったか?」
 野卑な笑いを浮かべながら、立ち尽くす悠花の周囲を歩き回る。悠花はいつ襲われるかわからない恐怖に、首をすぼめて目線を下げた。
(……!)
 ドキリとした。恐怖の的であるスタンガンを見ると、竜二の手の甲には、長袖のパーカーの袖から指の又にまで蛇柄が伸びていた。中学生の時のあの記憶が蘇る。梨乃と入った雑居ビルの怪しい店。その受付カウンターにいた男の特徴とあまりに似ていた。変態男に身を貶められたラブホテルで、その脅迫の元凶となったあの出来事に繋がる。ここまで偶然は重なる筈はない。何かを問おうと唇を緩めたが、何も言葉が出てこなかった。今起こっている災禍の原因が、自分自身によるものだという符合を認めたくはない。この全ての責任負い切ることはできず、努めて単なる偶然の一致だと考えたかった。
 竜二はスタンガンを片手に悠花の立ち姿をニヤニヤしながら眺めていた。肩の出たホルターネックのミニワンピースは、村本の指定範囲内のスカート丈だったが、バゼットとのデートのためにマキシ丈のニットカーディガンを羽織っているので露出は少ない。だがそれでも、ヒールの高いバミューダサンダルのせいで腰の位置の高さが強調され、スレンダーラインのカーディガンの袷せから垣間見えるボディーラインでスタイルの良さも窺い知れる。
「おいっ……。やめろっ」
 竜二が悠花にちょっかいを出し始めたのを見てバゼットが制しようとする。
「へっ」
 バゼットの方を振り返り、無駄だ、とでも言いたげな憎らしい嘲笑を向けると、再び悠花の方を振り返り、
「やっぱよぉ。モデルやらグラビアとかで売っちゃってるオンナはスタイルたまんねぇよなぁ。おら、ちょっとモデルっぽい立ち方してみてくれよぉ」
「……」
 竜二は何も言わずに立ち尽くしている悠花に見せつけるように、スタンガンの電極をバチン、と鳴らしてみせる。
「ひっ……、ど、どうしたらいいのよ……」
「んなの、瀬尾悠花サマのほうがよーく知ってんだろ? いつも撮影とかでよぉ、キメポーズしてるんだろ?」
「……」
 悠花は仕方なく、マキシ丈のカーディガンを片手で摘んで持ち、中で片膝を少しを曲げてつま先立ちのサンダルを少しだけ前に出すと、肩を傾けて身を捻って首をほんの少し傾げた。ロング丈のスタイルには割とオーソドックスなポージングは、鏡で見なくともプロとして充分に様になる位置で止めることができる。
「……これで、いいの?」
「おー、さっすが……、と言いてぇとこだが、つまんねぇなぁ。もっとよぉ、セクシーな感じのキメポーズあんだろ?」
「……」
「撮影の時、言われるだろ? 『もっとエロいポーズでおねがいします』ってよぉ」
「そんなの、あるわけないじゃない……」
「無くてもやんだよ」竜二はスタンガンを掌で叩きながら近づいてくる。「お? そうだろ?」
 蛇柄の甲が近くまでやって来ようとすると、それ以上近づかせないために、足を横に少し開いて片足に重心を乗せると、手を添えた腰骨を傾けるようにウエストラインに見事なカーブを描き、もう片方の手で髪をかき上げるようなポージングに変えた。大人っぽい雰囲気を要求されるスタイルの時にするポーズだった。
「おぉ、それだよそれ。ちゃんとできんじゃん」
 美しい女が男を誘うような姿は、竜二の劣情を刺激してきていた。健介ほどではないにしても、そこそこの数の女を抱いてきた竜二だったが、さすがに瀬尾悠花クラスの女はいなかった。武器に怯えながらも取ったポーズは、その挑発的な顔立ちに見事にマッチして、より悠花を美しく見せている。


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