投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

好き…だぁーい好きなんだからっ!の最初へ 好き…だぁーい好きなんだからっ! 101 好き…だぁーい好きなんだからっ! 103 好き…だぁーい好きなんだからっ!の最後へ

私がついてるよ…-3

病室に加藤君と伊藤サンが見舞いに来てくれた。
 彼らは一体どんな心境で持病で倒れた僕に会いに来たのだろうか。

「先輩は将来の夢ってありますっ!?」
「えっ?」

瞳を輝かせ、僕にそう問いかける加藤君。

「実はここに来るまで高校を卒業した後の話題で盛り上がっていたんです。加藤君は
 高校卒業後大学へ行きたいんですもんね」
「えぇ!美大に。そこでもっと芸術に触れ、学ぶんです、そしてある程度の年齢に
 いったら個展でも開きたいなぁーって」
「フフ、有り触れた願望ね、私は、そうねー、好きな人と巡り合ってその人との間に子供
が生まれ、幸せな家庭を築きたい…かしら。、勿論絵は描くわ、将来生まれてくる子供に
「ママは昔絵描きだったのよー」みたいなね」
「それも有り触れたものでしょう!絵は続けよう、絵描きだったって何ゆえ過去形?」
「……。」

二人が目を輝かせ幸せな未来を語り合い、和気藹々とする。
 ダガ今の僕はそんな二人を心から応援する事が出来ない。

「先輩はどうするんですっ!?」
「僕は……」

返答をする気力が起きない、暗い表情で顔を上げない僕を見て、ようやく伊藤サンが
 気付き、それに釣られ加藤君も気付いた。自分達がいかに目の前に居る人を傷つける話
で盛り上がっている事に…。

高一の春3月、加藤君のクラスで将来の話で盛り上がったのが元らしく、ダガ今の僕に
 とっては最悪のタイミング。

失言した事に、顔を濁らせ急に口を閉じる後輩達、僕は…

「頑張ってね二人とも!僕の分まで絵を愛して欲しいっ!」

その言葉に二人して目を見開き驚く。加藤君と伊藤サンには色々とお世話になった
 だから二人には幸せになって欲しい。

それから彼らは思いっきり後ろ髪を引っ張られる思いで、僕を残し部屋を後にする。

「………」


ふらっと立ち寄った待合室、そこにあるテレビからまたも人を追い込む特集が流れて居た

「皆は将来何になりたいのかなー?」
「私は看護師になりたいです。そして多くの病気で苦しむ人を救いたいです」

将来の夢スペシャルと題して、女性記者が小学生低学年の生徒達に次々とマイクを向ける
 この時期卒業入学就職する人が多くあるので。

「僕は消防士になって、皆を助けたいです」
「……」
「僕は画家になりたいです。将来自分の美術展を持って、多くの人に楽しんでもらいたいですっ!」

瞳が赤くなり、容赦なく溢れた涙がこぼれて来た。

あぁ

もぅ、限界だ……。



好き…だぁーい好きなんだからっ!の最初へ 好き…だぁーい好きなんだからっ! 101 好き…だぁーい好きなんだからっ! 103 好き…だぁーい好きなんだからっ!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前