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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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私がついてるよ…-4

会いたい、今すぐ来て…

外は暗く夜が深まった自室で、突然送られた一通のメール。

簡潔で短すぎる文章、最初は戸惑ったものの、その文字の向こうで彼が大変な事になって
いるのでは…、と危機を感じ、外へ通じるドアを躊躇無く思いっきり開けた。

「お、おいっ!何処に行くんだっ!?」

突然家を出て行く娘の背中に手を伸ばし驚きの声を挙げる父。
 私は振り向く事も無く、そのまま冷たい外へ。

絶望を覆い被せるかの如く降り注ぐ豪雨。
 レインコートだけを羽織り自転車のペダルを強く踏み、強風に挫ける事無く磨り減った
細い棒のような両足に鞭を打ち、彼の居る病院だけを頭に思い描いた。

廃墟…、無礼な物言いダガまさにその表現が適任と思えるくらい静まり返った病院。
 当然ながら夢の中へ入っている他の患者サン達。私は彼らを起こさないよう慎重に廊下
を歩き、絆の部屋を目指す。

彼は大丈夫だろうか?

明らかに様子が可笑しい事は確実で、今は兎に角彼の無事を祈るばかり。

そう不安を抱いているとあっと言う間に、彼の名が記されたネームプレートを目にする。

「……」

もはや言葉も出ない。私は軽く呼吸をし、気を落ち着かせ、ドアノフに手を掛ける。


「絆?…」

安否を確認する為、顰めた声を放ち、彼が一日中、身を預けている白いベットを覗く。

「……」

彼は居た、腰を上げ、銅像のように固まって動かず…

余計な詮索や憶測をする事もせず、ただ黙って彼の元へ歩みより

私の存在に気付き、永遠とも思える沈黙が続いたのち、彼はようやく口を開く。

「今でも…信じられないよ。」
「…」
「…どうして、なんで僕なのっ!?」
「…」

涙声で溜まった思いを吐く私の愛しい人。
 私はただひたすら口を出さず、彼の話に耳を傾ける。

「ここにだけは戻りたくなかった。そりゃー何時かはこうなる事は解ってはいた、でもっ
覚悟は出来ていなかった!嫌だったっ!」
「……」
「もっと…もっと、生きたかった、そして色んな事をしたい、コンクールで賞を取りたい
部員をもっと増やしたい、運動神経を良くしたいっ!」

        笑ってる君の傍に居たい!君を幸せにしたいっ!

「!…」

「何でぇ!?なんで僕がこんな目に!?僕が何をしたって言うんだっ!どうしてこんな
酷い目に遭わなきゃいけないのっ!!?」
「絆…」

真夜中にも関わらず静寂を切り裂く彼の悲鳴。ダガ今は周囲の迷惑なんて関係ない
 滝のように流れる涙、感情をあらわとさせ狂ったようにブンブンと首を振り、大粒の涙
をシートに染み込ませ。

「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁっ!僕、僕まだ死にたくないっ!」
「!…」

片手で私の胸倉を掴み、首を下にする彼、その手は弱く、震え。

「助けて…恐いよ…杏」
「……」

彼の言葉には言い表せないような悲痛な叫び。私までその苦痛が移ったかのように感情
が高ぶり、顔を赤く染め。

「大丈夫だよっ!恐くないからっ!私が、ずっと…ずっとついてるからっ!!」

悔しくてだだ捏ねる子供のような彼。私はそんな彼を力一杯抱き締めた、気分を
 落ち着かせようと、時より腕をさすってあげて

「もうっ!泣かないのっ!ホント子供なんだからぁ!」
「うぅ、ああぁ、うううぅっ……」

嵐が静まり返ったかのように、うっとおしい雨音が消えた。


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