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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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意外な強敵-4

「あの……俺は、大山倫平って言います」


「うん、よろしく」


ニカッと白い歯を見せて笑うその顔をマジマジと見れば、燻っていた胸騒ぎが再びチリチリ勢いを増す。


初めて州作さんを見た時は、草食系をイメージするならこういうタイプなんだろうな、ってくらいの草食系に見えた。


小さい顔に、細身で脚がやたら長くて、顔の作りはあっさり系の爽やかな顔だから。


強面の修とはまた対称的なタイプ、そういう爽やかな外見だから、馴れ馴れ……いや、フレンドリーに振る舞ってもイヤらしさを感じさせない。


だがなぜか、それがかえって俺を不安にさせる。


同じ爽やか男の歩仁内が女の子と話を弾ませているのを見ても全然平気なのに。


この人に微笑まれて顔を赤くした石澤さんや、嬉しそうに頭を撫でられていた本間さん。


爽やかイケメンにそんな風に振る舞われたら、照れてしまうのは自然なことだと思う。


でも、沙織がもしそんな反応しちゃったら……?


隣にいるはずの沙織の顔を、俺は怖くて見れなかった。


「はい、じゃあ後は誰?」


モヤモヤしてるうちに俺の自己紹介は終わったと見なされたみたいで、残る沙織が州作さんに向かって頭を下げているのが視界の端に見えた。


ちょ、ちょっと待て! 俺、さっきの修みたいに、あらかじめ沙織を彼女として紹介して、牽制しようと……。


そうやって言うよりも、沙織が自己紹介を始めるよりも先に、口を開いたのは、州作さんだった。


「君、可愛いねぇ!」


「え?」


目を丸くして呆気に取られている沙織を前に、州作さんが捲し立てるように話しかける。


「いやー、マジ可愛い! オレ、君みたいな娘めっちゃタイプなんだよね。ね、名前何て言うの?」


「え、あの」


「名前だよ、何ちゃん?」


「あ、あの、中川沙織って言います……」


「そっかあ、よろしく沙織ちゃん!」


すっかりテンションの上がってしまった州作さんは、沙織の手をしっかり両手で握って、ブンブン上下に動かしている。


そんな様子は、とても草食系なんてもんには思えなかった。




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