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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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僕だって!-11

「杏ー、矢吹サンから電話よー」
「あ、はーい今いくー」

井吹さんの入り知恵で、自分はテニス部で親しくなった娘の親友という事にして、矢吹
 という一文字違いの女の子を演じた、井吹さん自信まだ22才で電話越しの声から
 疑われる事もなく。
 そうする事で、親に、と言うより親に心配掛けたくない依頼対象者である私の意思を
 尊重して、探偵と組んでる事実が知れれば何かと心配に思う事もあるだろうし。

私は電話で、近くの公園で落ち合う事に家を出た、なーにそれまでにストーカーに
 襲われる可能性も想定して話もしてある。

無邪気に子供が遊具で遊ぶ公園、ベンチに大人しく腰を下ろす街で見掛ける様な普通の
 格好をした井吹さんの姿が。公園でスーツで立っていたら周りの人に怪しまれるとか
 徹底してんな。
 私を見かけた彼女が勢い良く立ち上がり、手招きをし、私もそれに駆け足で向かう。
 友人と待ち合わせをするかのように。

「という訳で、犯人の尻尾を掴む為に、悪いけど貴女には一人で出歩いて貰う。でも心配
しないで、勿論影で尾行をするから、証拠だって集まれば警察だって動いてくれる。」
「解りました、お願いします」

頼りがいのある姉貴のように見える井吹さん、住宅街で肩を並べつつ話を進める。

しかし、私には当然疑問に思う事が。

「ねぇ、井吹さん」
「ん?どうかした?」
「私にストーカー撃退の依頼をしてくれた、その依頼人って誰なの?依頼料もその人が
 払ってくれるんでしょ?…一体どうして」
「……」

色々と答えてくれる井吹さん、しかしこればかりは口ごもる、私も昨夜軽くパソコンで
 探偵について調べて見た。だからきっと言えないんでしょう、依頼人との守秘義務
 って奴。

「御免なさい、それは言えないわ、依頼人との約束だから」

申し訳なさそうな顔つきの彼女、余計な質問だったな。
 でも、私には一人心当たりのある人物がいる、でもまさかね、そこまでの度胸もないし
普通にそんな大金ある訳ないし。

その後も登下校はお父さんが、全然苦労していないような調子だが、心が痛む。
 外出も何気なくお母さんがついていく事に「買い忘れた物があったから一緒に行こう」
 的な、ストーカーに遭って自分が恐い思いをする以上にこういうのは辛い。

「気に病む事はないよ、悪いのは全部最低ストーカー野郎なんだから」

通りすがる親子連れを見つめ、沈んだ表情を浮かべる私を目にした彼女がそっと優しく
 勇気づける。

そうこうしているうちに話し合いは終わり、気がつけば自宅前に。

「今日はありがとうございます、はぁ…ストーカー早く捕まってくれないかな」
「しっかり!ここで挫けたら相手の思う壺だよ、こっちでも色々聞き込みや張り込みを
して、ある程度ストーカーの事も解ってきたし」
「ホントですかぁ?」
「えぇ、私こう見えて東大出てるし、小さい頃から探偵に憧れてたし、自分で言うのも
 アレだけどエリートなの、今は小さな探偵事務所だけどね。それに犯人も最低な事して
置いて馬鹿だったもん、警戒心とかまるでないし。」


次の夜、その言葉の通り、夜道を一人で出歩く私の背後に潜む男。
 その後ろで探偵が待ってましたと言わんばかりに張り込んでいる事も知らず。

ワザとらしく警戒心を解き、歩く私。その背後に迫る魔の手。
 そしてその手が肩にまで近寄り、にやけるストーカー、しかし。

「そこまでよっ!!」
「!!?」

私を襲う事しか頭にないお馬鹿な犯人は、突然の怒鳴り声と力強く肩を掴む手に驚き。

振り向き、井吹さんに飛び掛るもヒラッと交わされ、反撃に出て男に近寄る彼女、しかし
奴は懐からナイフを取り出し、それに驚いた彼女を見てニヤリとし、そのまま勢い良く
襲い掛かる。

「井吹さんっ!!」

刺される、そう思ったその時。

「警察だっ!大人しくしろっ!」

証拠を事前に集め、警察に提出した井吹さんが、警察の方とも作戦を練っていたのだ。
 それにより犯人はあっけなく制圧され、女の敵にガン飛ばした後、私の元へ寄り添い
安否の心配をしてくれた。


親には最後の最後までこの騒ぎすら知らないでいた、でないと矢吹サンという架空の人物
を作った意味が無い。でも私がとびっきりの吹っ切れた笑顔を見て、娘はもう大丈夫だと
自然に理解し、ホッとしたようで。

「本当に有難うございます、これで安心して出歩けます!」
「よしてよ私はただ自分の仕事をまっとうしたダケ、お礼なら探偵にストーカー撃退を
 頼んだ依頼人に言って」

そう言い残し、彼女は去って行った、短い間だったけど、素晴しい方だ。

こうして私は久々に快適な夜を迎える事が出来た。






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