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野郎共のワールドカップ
【スポーツ 官能小説】

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旅立ち-2

日本人離れした肉体とセンスを持つ日本の大黒柱、豊田敬二。
スピードとテクニックは世界屈指、日本のエース阿川真一
日本の守護神、海原栄治
海外トップリーグでも大活躍の谷田、長崎、内山さんなど、海外組は錚々たる顔ぶれだ。
国内組も負けていない。
代表の顔ともいえる大ベテランで日本一のテクニシャン近藤仁司
センターバックを務める古田康さんなど。
うちのトップからは種田さんや川内さんも選ばれている。
残念ながらお二方とはあまり面識はないのだけれど。
そんな日本を代表する屈強の武士達を乗せた飛行機が飛び立つ。
代表メンバーを乗せた飛行機はまずはスポーツ大国で2週間のキャンプを張る。
その後、ワールドカップの行われるサッカーの国へ向かうのだ。
予選だけでも最低一カ月。
決勝まで行けばおよそ2カ月の長い旅に出る。
それまで日本に帰る事はないと思うと内心びびってきた。
飛行機に乗るのも海外に行くのも初めてだ。
俺は不安でいっぱいだ。
そんな俺の緊張を増長するかのような事がもう一つ。
飛行機の席は阿川さんの隣。
世界大注目の人の隣に何時間も座るのはそれだけで緊張してしまう。
俺は生まれてきて一番の緊張に襲われている。
周りに流されながら恐る恐る飛行機に乗り込み席に着く。
大きい荷物は空港で預けたが、手荷物はどうすればいいのかわからない。
オロオロしていると阿川さんが俺のかばんをそっと上の棚に持ち上げてくれた。
「おまえ、飛行機初めてか?」
阿川さんが俺に気を使って言葉をかけてくれた。
嬉しさと恥ずかしさがこみ上げてくる。
「あ、俺にそんな気を使わないでください」
俺はそっぽを向いてさっさと席に座る。
失敗した。
阿川さんに余計な気を使わせてしまう。
俺は阿川さん達をサポートするためにここにいるはずなのに。

機内が落ち着き、いよいよ飛行機が動きだす。
怖い。
こんな鉄の塊が浮くなんて。
どうしてみんな平気なのだろうか。
怖い、怖くてたまらない。
俺は誰にもばれないようにそっと震えていると、右手にそっと暖かい手が添えられた。
阿川さんだ。
「緊張するな、力抜けよ」
俺にそっと声をかける。
俺は何も言わずに阿川さんの手を握り返す。
不思議と心がすごく落ち着く。
あぁ、阿川さんはなんて頼りになるんだ。
その手の感触にありがたく、申し訳なく思いながら。
こうして、俺達日本代表を乗せた飛行機は異国の地へ旅立っていった。


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