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真里菜の憂鬱
【兄妹相姦 官能小説】

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真里菜の憂鬱-9

(9)


 真里菜を呼び起こす朝が眩い陽光と共にやってきた。
カーテンを通して差し込む陽はすでに暑さを感じさせる。もうすぐ夏休みだ。
 真里菜は起き上がってエアコンの冷房を入れた。

(亮輔……)
自分の横に兄が寝ている。
(ああ、お兄ちゃん……)
忘れていた二人の朝を思い出した。時刻は七時半を回ったところ。時間はたっぷりある。
(どうやって過ごそうか……)
兄の寝顔を眺めながらわくわくしてきた。

 ところが、トイレから戻ってみると兄はすでに着替えていた。
「おはよう」
「起きちゃったの?」
「うん」
「なんで?まだ早いよ」
「腹減ったよ」
「いつももっと寝てたじゃん」
「うん。今日、応援なんだ」
「応援?」
「野球。うちの高校、三回戦までいったの初めてらしいよ。一年生は強制応援なんだ」
兄は野球には興味がないから話題にもしなかった。
「すぐ行くの?」
「まだ早いけど、いったん学校に集合だから。そろそろ負けるんじゃないか」
「そう……」
 しょうがないとは思ったけど、がっかりして力が抜けて行く感じだった。
昨夜のキスの感触が唇に残っている。波にさらわれていくような昂奮に見舞われた。
(あのまま兄が突き進んでいたら……)

 兄の心はどうなっているのだろう。知りたかった。キスをして、「可愛い」と言ってくれた。妹としてみているのならあんなキスはしない。真里菜を抱く手も体を確かめている動きだと思う。そう感じる。なのに……。


 美咲が突然訪ねてきたのは終業式の翌日のことである。真里菜も両親も留守で亮輔一人の時である。後から知って、真里菜は思わず体が震えるほど驚いた。

 その日は両親とも休日で真里菜と三人で祖父母の家に行ったのだ。当然兄も行く予定だったのだが、四回戦に勝ち進んだ野球の応援と重なったのである。相手がシード校ということもあって全校応援となった。ところが前日からの雨でグラウンド状態が悪く、学校で待機することになった。
 結局、試合は順延となり、兄は帰宅したのだが、美咲がそんな事情を知るはずもない。兄が一人だとは知らずにやってきたのだろう。
 でも真里菜にとってそんなことはどうでもよかった。偶然とはいえ、
(兄が一人の時に来た……)
そのことが『恐怖』だった。

「またクッキー持ってきたの?」
「ううん。チーズケーキ。冷蔵庫にあるよ。まだ食べてないけど。食べる?」
(そんなのいらない)

「来て、どうしたの?」
「別に、話ししたたけだけど……」
何となく歯切れが悪いことが不安を煽った。
「部屋に入れなかったよね?」
「せっかく来たから……」
「上がったの?」
兄は俯き加減で頷いた。
「お兄ちゃん、マナー違反よ」
美咲を部屋に入れたことに腹が立った。
「そうだな。よくなかったな」

「何かあったの?」
「ないよ。話しただけだよ。だけど、あの子、なんかすごいよな」
「美咲、何か言った?」
「超ミニのスカート穿いてきてさ。びっくりした」
そんなの持ってるなんて知らなかった。

「それで?」
真里菜はその時のすべてを突き詰める気持ちになっていた。
「途中で、あなかが痛いって言いだして、横になったんだ」
「どこに?」
「ベッド……」
「お兄ちゃん、なんで……」
兄のベッドに美咲が寝た。
「だって、ちょっと休ませてって言うから、いやだって言えないよ」
「痛かったら帰ればいいのに」
「そうも言えなくて」
「それから?」
「しばらく目つぶってたよ」

 どんなスカートか知らないけど、きっと太ももがあらわになっていただろう。
(胸も私より大きい……)

(誘っていたんだ……)

「お兄ちゃん、変なことしたの?」
「何を?」
「H……」
思わず口にしてしまった。
「しないよ。何言ってるんだよ、真里菜は」
「ほんとに?」
「ほんとだよ。するわけないだろう」
珍しく怒ったような顔をみせた。

 十分ほどして、気まずい空気になったので、もうすぐ家族が帰ってくると嘘を言うと帰っていったという。

 部屋に戻った真里菜はしばらく顔の火照りがおさまらなかった。
(Hなんて言っちゃった……)
セックスをしたのかどうか、兄を問い詰めたことが恥ずかしかった。兄の口数が少なくなったのもそれでかもしれない。
 二人は何もなかったのだろう。もしあったら美咲が来たことを兄は隠すと思う。それにしても……。
   
 気持ちがざわめいてどうにもおさまらなかった。美咲はもっとエスカレートしてくるかもしれない。今日だって、兄が行動を起こしていたらセックスをしていたにちがいない。
(大変なことだ……)
亮輔が美咲と……。どうしたらいいだろう。……
 考えているうちに体の芯に明確な蠢きが現われた。それは、肉体と心がくねくねと撚り合わさったような真里菜の意思であった。彼女は気づいていなかったが、幼くも一途に男を求める紛れもない『女』の決意がそこにはあったのである。

 
 


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