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真里菜の憂鬱
【兄妹相姦 官能小説】

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真里菜の憂鬱-8

(8)


 夜勤の夜がときめきの時間だったことが改めて思い出された。しかも今はあの頃のような仄かな昂揚ではない。何かが噴き出しそうな勢いをもった想いが膨らんでいる。

 以前は二人で寝ることが嬉しくてたまらなかったが、この夜は『二人でいる』ことだけで幸せだった。
 ごはんを食べながら話をする。テレビを観て笑う。そのひとときがすべて自分のものだと真里菜は感じていた。

「お兄ちゃん。あとでゲームしよ」
「ゲームか。何がいい?」
「任せるよ。片づけするからお風呂入ってきなよ」
「今日は暑いからシャワーでいいや」
「うん、そうだね」
早く兄の部屋に行きたい思いで気が急くほどだった。

 いつもより体を念入りに洗ったのは明確な意識をもってのことではなかったが、気付かぬうちに『女』のたしなみがそうさせたのかもしれない。
 乳房を洗いながら膨らみを寄せてみた。
(美咲のほうが大きい……)
体操着の膨らみはブラジャーを着けていても歩くだけで揺れる。だけど、
(私だって、小さいけれど……)
乳首を摘まむと鋭い快感が走ってはっきり股間の疼きを呼んだ。


「お兄ちゃん。最近、美咲と会った?」
ゲームをしながら訊いた。
「会わないよ。そういえばしばらく来ないな」
「外で会ったことないの?」
「ないよ。家に来た時だけだよ」
「会いたい?」
「別に……。なんでそんなこと訊くの?」 
「だって、美咲って可愛いでしょ」
「うーん。まあ、そうかな」
「私より、可愛いよね」
兄はちょっとびっくりした顔をみせた。真里菜の言い方が強かったからだ。

「真里菜とは比較できないんじゃないかな」
「そんなに差があるってこと?」
「ちがうよ。逆だよ。真里菜のほうが可愛いすぎってことだよ」
「うそよ。美咲が好きなんだ」
兄のゲームの手が止まった。真里菜の頬に涙が一滴流れ落ちた。兄の真意を訊き出すつもりが急に頭が混乱して感情が昂ぶって込み上げてきたのである。自分でも何が何だかわからなくなった。

「真里菜……」
「お兄ちゃん」
「なんかあったのか?あの子と喧嘩したとか」
「ちがう、ちがうの」
「じゃあどうしたの。泣いたりして」
「淋しくなったの」
「どうして?」
「わからない。わからないけど、淋しいの」
俯いてはいたが、真里菜は兄の視線を感じていた。
「小学校の時、同じこと言って泣いたことがあったな」
(そうじゃない……そうじゃないけど……)
さらに込み上げて兄を見上げた。
「お兄ちゃん、抱っこして寝て」
ほんのわずかな間が澱んだ。

「真里菜。枕、持ってきなよ」
兄の微笑みがやさしく触れてきた。
「寝る前に歯磨きだったよな」
「うん。歯磨き」
真里菜は涙を拭って笑ってみせた。


 兄の胸に抱かれてふたたび涙が込み上げてきた。
「真里菜。淋しくないだろ?一緒に寝てるんだから」
「うん……。嬉しくて涙が出てきちゃうの」
兄の手が真里菜を引き寄せる。

「真里菜。大きくなったね」
背中をさする手がお尻の近くまで下りてきて止まった。
(触っていいのに……)
息を吸い込むと兄の匂いが胸深く沁み込んでくる。

「お兄ちゃんも大きくなったね」
胸を触って、腕を掴んだ。
「真里菜」
「ん?なに?」
「このベッドに寝た?」
「え?……何回も一緒に寝たじゃない」
「最近……」
「……どうしてそんなこと訊くの?」
「真里菜の匂いがするんだ。少し前から」
「どこに……」
「枕とか、布団とか、何となく部屋にも」
「部屋には来てるからね。私、体臭きついのかな」
「そうじゃないよ。……いい匂いなんだ……」
兄にまた引き寄せられて、二人の体は一体となっている。

「お兄ちゃんのいない時、何回か寝たことある。ごめんね」
「謝んなくていいよ。なんか、よかった……」
「よかった?」
「真里菜がそばにいるみたいで、よかった」
「お兄ちゃん。これから、また、一緒に寝ていい?」
「いいけど……」
何かつっかえる言い方だった。
「だめ?」
「いいよ……」
口調は弱かった。けれど、それ以上何も言う必要はなかった。言えなかった。兄の唇が重なってきたからだった。
(うう……)

(お兄ちゃん……)
そのキスは、前にあった偶然触れたようなものではなかった。兄の、亮輔の意思が真里菜に被さってきた感情であった。
「真里菜、可愛いよ。ほんとに、誰よりも可愛いよ」
「お兄ちゃん。好き……」
もうどうなってもいいと真里菜は思った。
(ああ……)
真里菜は亮輔に抱え込まれ、次の行為に身構えた。
 何をされるのか、経験がないからわからない。胸?アソコ?……パジャマなら自分で脱いでもいい。……
 だが、亮輔は熱く抱きしめてキスを繰り返すばかりだった。
それでも真里菜は十分燃えた。
(こんなキスは初めて……だけど、もっと)
確かめたいのは、兄の下半身。
(勃起してる?)
それが知りたかった。
(私に感じているかどうか……)

「真里菜、ごめん」
「なにが?」
「可愛いから、キスしちゃった」
「いいよ。もっといいよ」
「いや……ごめん……」
兄の腕は真里菜を抱え込んだ。

胸はほぼ密着しているのに兄の下半身は腰を引いている感じだ。
 確かめるといっても、さすがにそこを触る勇気はない。兄の背中に手を回して引きつけてみたが彼女の力では容易に動かない。
(抱かれているだけでいい……)
何度もキスを受けて朦朧となっていた。

 昂奮はエネルギーを消費するものらしい。キスと抱擁が続き、真里菜は亮輔の胸に抱かれて陶酔の渦潮に巻き込まれていった。

 


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