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真里菜の憂鬱
【兄妹相姦 官能小説】

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真里菜の憂鬱-4

(4)


 真里菜が亮輔とお風呂に入ったのは五年生の時の一度きりである。真里菜がその後何度か誘ってみたが、
「狭いから、だめだよ」
兄は応じなかった。
(勃起が恥ずかしいのかな?)
真里菜は兄になら裸を見られても恥ずかしいとは思わなかった。むしろ、
(見てもらいたい)
時にそう思うことさえあった。なぜそう思ったのか、よくわからないが、もしじっと見られたら、なんだか嬉しくて、わくわくするような気がしたのだった。

 ある日、母と選んだブラジャーを初めて着けてみた。
「そろそろ着けたほうがいいわね。もうすぐ衣替えだし、目立つからね」
先日、母が小声で言って微笑んだ。
「今度の休みに買いにいきましょう」
嬉しくて頷いた。

 真っ白な下着が柔らかくオッパイを包む。きつくもなく、ぴったりと形よくおさまった。大人になったような気持だった。
 腕を上げて鏡の姿を見ていると脇毛が生えていることに気がついた。
(いつの間に……)
まだ薄くてわずかだが、黒い毛は白い脇肌を被い始めていた。陰毛にまだ発毛はない。
(いやだな……)
大人のしるしとはいっても、これは見ていてきれいなものではないと思った。
 すぐに剃ることを考えたが、同時に、
(そうだ……)
兄に頼もうと思いついた。どきどきしてきた。
 今度の『夜勤』の時、
(お風呂に入ってから、兄を呼ぶ……)
『剃刀怖いから剃って……』
いやだって言わないと思う。
(亮輔が私の裸を見る……見てもらいたい……)
 いったい何をしたいのか、自分でもわからずに、ただ体が昂奮していた。


 その夜は真里菜と亮輔の一つの区切りの日となった。一歩踏み込んだ感情と来るべき出来事が重なって、二人は互いに仰天して、弾かれたように距離をとったのである。


 兄と入れちがいに浴室に向いながら、
「お兄ちゃん、下にいて」
「うん。テレビ観てるよ」
いつも居間で彼女が出るのを待っていてくれるのだが、念を押した。そして手早く体を洗って兄を呼んだ。
 扉の前に立った兄は事情を聞いたあと、間を置いてから、
「開けるよ」
ちょっと俯き加減で入ってきた。

「一人でできないのか?」
兄の視線はたぶん瞬時に真里菜の裸身を捉えたと思う。眩しそうに目を細めた。
「お願い」
兄の前に立って両腕をばんざいした。

 乳房を目の前にさらした。
「そんなに生えてないんじゃないか?」
「生えてるよ。見えたらやだもん」
「わかったよ」

 剃刀を手に持った兄はクリームを手に取ると、脇に塗った。
「くすぐったい」
「真里菜」
「ん?」  
「こういうこと、お母さんたちに、内緒だよ」
「うん。わかってる」
ほとんど音もなく、呆気なく脇はつるつるになった。

「お兄ちゃんも生えてる?」
「うん……」
「男子は剃らないよね」
兄の視線が私の下半身を通り過ぎた。
「ここはまだよ」
真里菜が股間を突き出すようにすると亮輔の目が大きく見開いた。
「真里菜、どうした?」
「え?」
すぐに異変を感じた。紅い滴がマットに滴り落ちていた。事態を察した。
(生理!)
初潮であった。
「出てって!早く!」
思わず叫んでうずくまった。

(とうとうきた……)
すでに生理がある友達は何人もいたし、特別授業もあったから知識はあって、母に教わってそのための用品の準備もしてある。でも、いざとなると慌ててしまう。特に兄の目の前で起こったことが重い気分にさせた。
朝からおなかに鈍い痛みがあったのを思い出した。
(これのせいだったのかな……)
シャワーを浴びながらなぜか切ない想いに捉われていた。


 その日から兄と寝ることはなくなった。気持ちを遮断する何かが彼女の前に立ち塞がっていた。それはいったい何なのか。
 生理が始まったから……。大人の体になったから……。
真里菜は物想いに耽る。
(それはそうだけど……)
それだけではない気もする。
考えてみても心の中にどんよりとしたものが邪魔をしているようで、
(よくわからない……)

 兄への想いは変わらなかった。日常の関わりも変化はない。両親が夜勤の時は夜遅くまで兄の部屋で過ごした。だが枕は持って行かなかった。
「じゃあ、寝るね。おやすみ」
「うん。おやすみ」
兄のやさしい笑顔もそれまで通りだった。
 ベッドで時折、兄の温もりを思い出すことがあった。胸に顔を埋めて眠った温かさが甦る。そんな時、胸がキュンと苦しくなって、
(お兄ちゃん……)
布団を抱きしめて眠るのだった。  


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