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カウントダウン
【女性向け 官能小説】

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-1


あのキスから。
蒼くんは人の目を気にせず手をつないでキャンパス内を歩くようになり
私が何かをいうと
「里香、可愛い」
と言ってほほにキスをする。

そんな事をされたことのない私はビックリして嫌がっていたけど
あまりに大事に扱われることの心地よさと
ほほへのキスに慣れて
普通に蒼くん側のほほを傾けてキスを受け入れる体制を作るようになった。

始めはさわいでいた蒼くんの取り巻きも
あまりに自然な私たちの振る舞いに
だんだん何も言われなくなり、
食堂で二人きりでいてもそれが当たり前の光景となってきた。

もし、5年前のあの時。
たとえ蒼くんが私を好きじゃなくても
付き合っていると公表していたら、
どうなっていたんだろう。

蒼くんはこんな風に皆の前で大事にしてくれたんだろうか?

時たま思う心の痛みに答えなんか出ないけど。

それでも私も、蒼くんも、蒼くんの取り巻きも
5年前よりは確実に「大人」で。

それはあの時とはまた違う「今」なんだと思う。

私に対する蒼くんの態度は
私ですら蒼くんは私に本気なんじゃないかと勘違いさせるもので
周りの人たちは完全に騙されていた。

だから
「この前、裏庭でしたキス。
あれは俺の経験できなかったドキドキのファーストキスの代わり。
カウント1だね」

と、一緒にカフェでコーヒーを飲んでいる時に
外を見ながら、何気なく行った蒼くんのその言葉に
心が凍りついた。

あぁ。カウントダウンは始まっているのか。

そう、わたしに改めて自覚させるのに十分な一言だった。





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