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雨が雪に変わる夜に
【女性向け 官能小説】

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来客-2

 テーブルに置かれたピンクのギンガムチェックのカバーが掛けられた籠の中からチョコチップクッキーを一枚摘み上げて、亜紀は言った。「タクちゃん、あたしのお見合いを進めるために来たの?」
「それは叔母さんの用事。あたしは妹の結婚式の引き出物の注文」
「え? あっちゃん結婚するの?」
「そ。6月にね。いわゆるジューンブライドってやつ?」
「すごい! おめでとう!」
「ありがとよ」
「お相手は?」
「勤めてた会社の先輩だってさ。あたしも一度会ったけど、なかなかいい人だよ。優しそうで」
「そう」亜紀は空になったカップに、ポットの中で濃くなった紅茶を注いだ。

 亜紀の手元を見つめていた拓海は、独り言のように言った。「濃くなった紅茶には、ミルクを入れると渋みが気にならなくなるんだ」
「え?」亜紀は飲みかけた紅茶のカップを口元で止めたまま顔を上げた。
「時間を置くと、何だって舌や鼻に障るようになるだろ。ミルク入れてみな」
「あいにく切らしてる」
「そうか。そりゃ残念だな」
「タクちゃんよくそんなこと知ってるね」
「ま、受け売りだけどね」拓海は笑った。

「そうそう、それで、妹の結婚式の引き出物にね、シンチョコのアソートを頼もうかと思ってるんだ。」
「いいね、それ。きっと喜ばれるよ」
「明日お店に注文に行くから、あんたもつき合ってよ」
「わかった」
「今日は一日ぐだぐだしててもいいからさ」拓海はウィンクをして、カップの紅茶を飲み干した。


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