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社会のゴミ
【その他 官能小説】

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社会のゴミ-2

どこまでカスなんだ。俺はそう思ったが、銀行の暗証番号を教えると、さらにそいつらは言った。警察に言えば記念写真を一斉送信する。この携帯は預かっておくから変な考えは起こさないことだと。餓鬼の考えることじゃねえと思ったよ。
「そりゃあ、お前の油断だな。その場所は物騒なところだ。相手が若い女だからって鼻の下を伸ばしてついていったお前が悪い」
 俺は思ったよ。それがカスの理屈かと。相手の仕打ちを聞いてなんとも思わないこいつはもはや俺の親でもなんでもない。俺は完全に切れていた。そこで俺はこんな話をしてやった。
 俺の知人にやはり身障者の男がいたんだ。杖をついて歩いていたんだけれど、ある日駅で改札までのエレベーターに乗ろうとしたら、重量オーバーのブザーが鳴った。後ずさりして次まで待とうと思ったとき、キャリーバッグを持った若い女性が『どうぞお先に』と譲ってくれた。
 父親は珍しく俺の話を聞いていた。それでどうした? という感じで顔で促していた。俺は続けた。
 エレベーターから降りた俺の知人は、彼女が上がって来るのを待った。なにかお礼の一言も言ってなかったので。ところが上がって来たのは見知らぬ男だった。そして何か服が血で汚れていたんだ。知人は嫌な予感がしてエレベーターでもう一度降りたんだ。すると先ほどの女性がエレベーターの外で血塗れになって死んでいたんだ。
「ふーん、そいつは運が悪かったな。というよりその男は初めから女を狙っていたんだろう」
 俺は言ってやったよ。これがニュースにもなったY駅ストーカー殺人事件だ。だけどそんな感想しか持てないあんたはやっぱり人間のカスだ。エレベーターを譲ってくれた心優しい女性が何故殺されなきゃいけないんだ? 生きてもらいたい人が死んで、死ねば良いようなカスが図々しく生きている。そういう矛盾を感じないのがカスの印だ。あんたは働きもせずに金を儲けることばかり考えている。汗を流して働くってことを考えたことがあるのか? 俺は声を荒げたと思う。
 あいつは俺と違って体格も良いしヤクザに間違えられるほど強面だが、さすがに言い返せずにちょっと黙った。だがぼそりと言った。
「……一時期映画関係で働いたこともある。アダルト映画だが」
 俺は涙が出て来たよ。確かにアダルト男優とかは胸張って言えるような仕事じゃないかもしれない。だけど、それだってきちんと続けていればそれなりの職業には違いない。その職業が恥ずかしいということより、それすらも止めて働かずに人からたかることの方がずっと恥ずかしいことなんだ。
 だが俺がいくら涙を流して訴えてもカスが相手では話が通じない。俺は情けなくて涙が止まらなかったよ。頼むから、もう俺の前に現れないでくれ。あんたの顔を見ると俺の人生はなんだったのか分からなくなる。もし親の気持ちを1パーセントでも持っているならこれ以上その汚い面を俺の前に出して、俺を苦しめないでくれ。
「現れないよ。もうお前の貯金も底をついたからな。違う所を捜すよ」
 あいつはそう言うと入り口に立てかけてあった俺の杖を手に取った。
「まあ、これでも貰って行くか。いくらかにはなるだろう」
 俺は切れた。それは俺が必要としている杖だ。何故持って行く? あんたは脳味噌が腐ってる。糞だ。社会のゴミだ。だけど奴は涼しい顔をして出て行きやがった。



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