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未亡人遅咲き淫花
【熟女/人妻 官能小説】

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未亡人遅咲き淫花-2

(2)


 半年後、そして夏に三回目の調律に行った頃には親しみが通い合い、仕事を離れて話が弾んだ。作業後には昼食の用意までしてあって、ダイニングルームの豪華さに圧倒されながらも久美子と歓談しながらのひとときは至福の時間であった。

 折々の話の中で、彼女が三年前に夫を亡くし、しかも結婚生活はわずか半年足らずであったことを知った。病死だと言ったが深くは訊かなかった。
 この家の一人娘となれば養子であったろうと推測される。
(莫大な財産と美貌の娘……)

 財産はともかく、自分なら久美子の魅力だけで十分だと思う。手の届く存在ではないから本気で何とかしたいと考えたわけではないが、独り身の彼にとって美しい女は妄想の中でいつも仮想セックスの対象である。その中でも久美子は別格だった。
 スリムな体形の彼女がゆっくり歩く姿は舞うように見える。乳房は小さいが姿態は大人の色気を醸し出す肉付きを持っている。その中で時折、少女のような初々しい表情がふっと浮かぶこともある。
(抱きしめたらどんなだろう……)
気品に彩られたその顔が苦悶に歪む想像をすると堪らなくなってくる。

 やや遅い結婚である。わずか半年で夫と死別。子供はいない。
(どんな夫婦生活だったのか……)
しなやかな肢体を夫に絡めながら全身をおののかせて堪え切れずに声を洩らしていたのだろうか。思いを巡らせてみるが、いつも整った身なりの上品なイメージが強すぎて乱れた姿がはっきりと描けない。

(彼女は結婚までに経験があったのだろうか?)
いや、彼女の環境を考えるとあり得ない気がする。小学校から大学まで一貫のミッション系女子校だったと聞く。おまけに習い事が多くて部活動も出来なかったと言っていたことがあったから異性と知りあうことすら難しかったと思う。
 もしそうだったなら、三十数年秘められた神秘の扉が開かれた瞬間、とてつもない衝撃が全身を貫いたことだろう。

 過去はともかく、いま女盛りの疼きはどんな方法で鎮めているものか。男がいるとは思えない。きっとオナニーだ。となると、持て余していることだろう。

 久美子に変化が見られるようになったのは今年になってからである。気になる音があると連絡がきたので行ってみると異常はない。
「直ってしまったみたいなの……」
「どんな状態でしたか?」
「それが、なんて言ったらいいかしら……」
湿度などの関係で自然と症状が治まってしまうことはよくあることだ。
「また起きたら連絡してください」
「わざわざすみません……」
他の客ならともかく、久美子に会えるのだから面倒とは思わない。むしろ嬉しいくらいだ。

 数日後、ふたたび電話があり、訪問すると、
「今朝になったら何ともないんです。お詫びにお食事でも……」
すでにテーブルには準備が整っていた。
 そんなことがさらに二度続き、これは妙だと思うようになった。異音がするのなら状況を説明するものだが、それがない。
「どの音でしょうか?」と訊いても、
「この辺りかしら……」
 音を出して耳を澄ませ、確認作業に入ると久美子まで覗き込み、徐々に近寄ってきて、時に体が触れるほどに接近してくる。

 芳しい香りの源は香水ばかりではない。彼女の素肌の匂い、そして温もりさえ伝わってくる気がする。
 抱きしめたいかすかな衝動が胸を高鳴らせてくる。横顔を窺うとその頬にこわばりが見えた。
(まさか……)

 その後も会うごとに親しさを増しながら、意識が線香花火のようにチリチリと心を焦がす。そうなったのは彼女の眼差しに揺らめきを見たからである。
(意識しているのか?……この俺を……。そんなことはない……いや……)
一度腕が触れたことがあり、その後、さらに押しつけるように体を傾けてきて、ふうっと息を吐いた。流し目に色香を見たのは自惚れだったろうか。
(ちがう……)
自分を男として見ていると片倉は感じ取っていた。
 そしてこの夏、軽井沢の別荘にあるピアノの調律を頼まれたのだった。


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