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ありがちな二人の、ありがちな日々
【女性向け 官能小説】

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いつのまにやら住み着いた人 -2


新太を支えながらどうにかマンションにたどり着き、

「少し眠って。夕飯出来たら起こすから…」

そう言って新太をソファーに寝かせ、湊はキッチンに立った。
夫を亡くして哀しみの底に堕ち、すっかり人を寄せ付けない性格になってしまった湊の家に来る友人はいない。

広くて綺麗なシステムキッチンで、淡々と一人分の食事を作る毎日。しかし今日は少し違う。
三年ぶりに作る二人分の食事の支度をしながら、思わず小さく鼻唄混じりで軽快に包丁を動かす自分に気付き、小さな苦笑いが込み上げた。

ある程度の支度を整え、

「…そうだ。お風呂の準備もしなきゃ」

きっと身も心も疲れ果てているだろう。
ソファーで深々と眠る新太をちらりと見て、湊はお風呂の支度をしがてら寝室へと向かい、ウォーキングクローゼットの中に入り、未だ捨てられずにしまってあった夫の部屋着や、夫の為に買い置きしていた新しい下着を取りだし浴室へと運んだ。

食事の準備が出来ると、新太を起こす為にソファーに向かい、

「夕飯出来たわよ?」

声をかけ、そっと肩を揺らした。すると、

「う…ん…?」

新太は、寝惚けて湊に手を伸ばし、抱き寄せよう仕草を見せた。湊は、

「こらっ! 私は枕じゃないわよ。寝惚けてないでさっさと起きなさい」

思わず吹き出しそうになりつつも、まるで幼子をたしなめるようにそう声をかけた。

「…お腹はすごく空いてるんだ。だけど、人肌も欲しい」

だから動けないんだと、新太はすがるような瞳で湊を見つめた。

「もう…。キミ、結構めんどくさいなぁ…」

湊は苦笑いしつつも、新太の伸ばした腕に応じてしばし胸の中に納まった。
静かな部屋。いつも聞こえる鼓動は自分のものだけだった。だけど今日は鼓動が二つ。
久しぶりに人の体温に包まれた温かさに、安堵と切なさが入り雑じり、哀と楽が同時に押し寄せ、胸が苦しくなった。

「人肌ってやっぱり気持ちいいね」

新太は湊の頭を撫でながら、そっと笑むように呟いた。

「…うん」

湊は、涙をこらえ、震えを帯びた声で呟きに応えた。







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