投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

人狼少女は本能のまま恋をする 
【ファンタジー 官能小説】

人狼少女は本能のまま恋をする の最初へ 人狼少女は本能のまま恋をする  16 人狼少女は本能のまま恋をする  18 人狼少女は本能のまま恋をする の最後へ

チェスター・バーグレイのこじらせた恋愛観念-3


「……やっぱりそうか。九歳の子の言う事を真に受けて喜ぶとか、可笑しいよな」

 チェスターは溜め息をついて肩を落とす。
 大陸中に友人知人を作って、他人の恋愛沙汰には昔から、嫌と言うほど巻き込まれてきたが、なぜか自分の恋愛にはロクな縁がなかった。

 あちこちの街に住む女の子に淡い恋心を抱いたり、抱かれたりする事もあったが、結局は誰しも、年に数日しか会わない隊商の民より、自分の傍に住み続ける相手を選ぶのだ。

 しかもチェスターが過去に一番惹かれた相手は人妻で、彼女と愛する夫を結び付けるのに四苦八苦したという苦い思い出まである。
 それが自分の役割だったから後悔はしていないし、幸せな夫妻を祝福しているけれど、当時はそれなりに複雑な心境だった。

 こんな風だから、変に恋愛観念をこじらせてしまったのだろうか。
 街に住む年頃の女性から愛を囁かれても、その場限りの感情なんだろうなと、軽く受け流せてしまっていたのに。
 アンがチェスターと隊商で旅を続けたいと言ってくれたのが、泣きそうなほど嬉しかった。

「ったく、マジでどうかしてんな」

 ジュードが吐き捨てるように言った。地面の腐葉土を、革靴でイライラとかき回している。

「いつもの若旦那なら、こんな事で俺に泣き言なんか愚痴るかよ」

「ジュード……?」

「十五や三十の歳の差夫婦なんざ、いくらでもいる。あの子が大人になるまで、他の男に目が行かなくなるくらい惚れ続けさせりゃ良いだけの話だ」

 とびきりガラと口の悪い少年魔法使いは、二重都市の地下街で初めて会った時のように、じろじろとチェスターを眺めた。
 相手を値踏みする不躾な視線を這わせた後、ニヤリと口端を吊り上げる。

「出来ないなんて言わないよな? 若旦那は、俺が初めて持っても良いと思った上司なんだからさ。あんまり情けねーツラ、見せてくれるなよ」

「あ、ああ……」

 ようやく混乱していた気分が落ち着き、チェスターは深呼吸してから勢いよく立ちあがた。
 ジュードの言う通り、すっかりどうかしていた。
 今すぐに手に入れられない相手だからと嘆いても、何も改善はされない。
 しかるべき時になったら確実に手に入れられるように、全力を尽くせばいいだけの話だ。

「そうだな。アンに愛想尽かされないように、せいぜい頑張るか」

 チェスターが服についた枯葉をパタパタとはたき、意気揚々と馬車隊の方に戻ろうとすると、背後で小さな声があがった。

「あ、そーいうことは……」

 ジュードはポンと手を叩き、指折り数える。

「アンが十六歳になるのは七年後……つまり旦那は二十八まで清い体を守り通すのか」

「っ!!!!!」

 青ざめるチェスターに、ジュードは意地の悪いニヤつき顔を向ける。
 彼は、かつてチェスターが二重都市で痴女じみた魔獣使いに掴まり、媚薬まで使われてあわや童貞を喰われそうになった秘密を知る、数少ない人物だ。
 そして以前から、性的には変に純情とからかわれていたチェスターが、それを機にいっそう、好きな相手以外とは絶対にするまいと決意した事も知っていた。

「そんなに待てないから、それまで適当な相手と練習しとくってなら、将来の嫁には黙っててやるけど?」

「しない! 結婚するまで男が純潔守って、何が悪い!」

 ジュードのニヤニヤ顔から察して、こっちの答えなんか解っているんだろうに、ついムキになって反論してしまう。
 チェスターはフンと鼻を鳴らして、断言した。

「たかが七年も待てないほど、俺は気が短くないさ」



人狼少女は本能のまま恋をする の最初へ 人狼少女は本能のまま恋をする  16 人狼少女は本能のまま恋をする  18 人狼少女は本能のまま恋をする の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前