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人狼少女は本能のまま恋をする 
【ファンタジー 官能小説】

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チェスター・バーグレイのこじらせた恋愛観念-2


「……いい女なら、何十歳上でも許容範囲だろ」

 ぼそっとジュードが呟く。無愛想な顔だちが、ほんの少し赤らんでいた。


 ―― そういやコイツ、超年上好みだっけ。


 しかも現在は、チェスターの母親アイリーンへ絶賛片想い中だ。

「いや。違う違う、女の方が年下の場合」

「年下には興味ねぇ。最低でも十は上が条件だ」

 今度はケッと吐き捨てんばかりに、即否定された。

「それはジュードの個人的な趣向だろ! 一般的だよ、一般的に! つまりだな、ええと……」

 ガラにもなくチェスターは言い澱み、詰まりかけた言葉をやっと吐き出す。

「……さっき、アンに大きくなったら結婚してくれって言われて、嬉しいと思っちゃった俺は、大人としてマズイかって話だ」

 アンの事は産まれた時から知っている。
 イスパニラ王都で、ルーディがとても自慢そうに双子の我が子を見せてくれた時、チェスターはまだ十二歳の少年だった。
 アンは、柔らかいプニプニ頬っぺたを突っつくと声をあげて笑う、可愛らしい赤ん坊だった。

 その後しばらく、バーグレイ商会は諸事情でイスパニラ王都に行けず、三年後に会った双子は、元気な幼児になっていた。
 そしてラインダース家は、毎年バーグレイ商会に同行して夏のフロッケンベルク王都まで行くようになり、双子は……とりわけアンは、チェスターにとびきり可愛く懐いてきた。
 狼に変化してチェスターの傍に寝そべる時もあるし、御者台の隣にちょこんと腰掛けて、あれこれ思いつく限りの質問を投げてくる時もある。

 だが、今年でアンと過ごす夏の旅路も最後だ。ラインダース家はフロッケンベルク王都に移住を決めたのだから。
 二度と会えないわけではないけれど、チェスターも名残惜しい気分だった。
 隊商の一員として一緒に旅をするのと、訪問した街で少しばかり顔を会わせるのでは、やはり全然違うのだから。

 それでもしょげるアンを慰めていた矢先に、衝撃的な告白をされて驚き、そして自分が心底から嬉しいと思ってしまった事へ、更に驚いた。
 所詮は九歳児が衝動的に言った事だ。感傷的な気分で、つい大袈裟な表現をしたのかもしれない。
 この先いくらでも気が変わる可能性はあるだろう。

 ……たとえばフロッケンベルクの王都で、近所に住む異性と恋に落ちるとか。

 それでもあの時、とても真摯なアンの眼差しに見つめられて、狼の牙を心臓につきたてられたような気分になった。
 ああ、彼女はやはり人狼の子孫なのだと感じた。
 欲しいものは必ず奪いとる人狼の眼差しに、惹かれてしまった。

 チェスターを大好きだと必死で訴えて繋ぎとめようとするアンが、とても可愛くて……本当に将来、そうなってくれたら良いと思ってしまった。

「……ジュード?」

 無言のジュードを見上げると、三白眼が社会のゴミを見るような目線で、チェスターを眺め降ろしていた。

「九歳女児に手ぇ出す気かよ……ルーディに噛み殺されちまえ」

 ボソボソっと呟いてきびすを返そうとしたジュードに、チェスターは大慌てで飛びついて引き止めた。

「こら待て、ちゃんと話を聞け! 俺を勝手に犯罪者にしないで!」

 いくら心を動かされたとはいえ、さすがに九歳児に手を出す気はない。
 ものすごく迷惑そうなジュードを羽交い絞めにして、強制的に詳細を聞かせ終わると、三白眼の少年は呆れたように眉を吊り上げた。

「若旦那、どうかしてんじゃねーの?」



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