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変容
【教師 官能小説】

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変心-9

 心を侵すキスと身体を犯すイラマチオ。
 恵は次第にそれぞれの時に合わせて舌を使うようになっていた。
 「ペチャ」、「ジュボ」という爛れた水音が恵の口から鳴り続けた。

「いくぞ。」

 何十回目かのイラマチオで男が言った。
 恵はこのまま口に出されるのだろうと思っていたが、ペニスが脈打ち、大きく膨れたその瞬間、予想に反して男の陰茎は恵の口腔内を去っていった。

「ッポン!」

 滑稽な音と共に口から出た陰茎は、驚く恵の数センチ鼻の先で破裂したように精液を射出した。

 閉じた瞼の上、鼻、頬、唇…。顔中に精液がかけられる。顔射だ。
 言葉として知ってはいても、されたことなど一度もない。夫に頼まれたことはあるが、一考の余地無く断った。その行為を今、他人の男から受けている。

 粘つく精液が出尽くした陰茎を、男は再び恵の口に突っ込んだ。
 恵は目を閉じたまま、言われもしないのに射精後のペニスを舐めている。

 男はその様子を見もせずにカメラを取り出し、ザーメンだらけの顔でチンポをくわえる恵を撮影した。

「3」

 無機質に数字を告げる男の声を頭上に聞きながら、恵はひたすら男のチンポを舐めしゃぶっていた。瞼の上から鼻梁の横を通り、口唇を越えて顎から垂れる精液が、恵の唾液と混じり床に滴っていた。



“いつまでこうしていればいいのか…。”

 あれから10分以上、フェラチオさせられている恵は思った。
 口内の肉棒はすでに硬さを取り戻している。男は前回同様ベッドに腰掛け、タバコをくわえながら鷹揚に恵の口唇奉仕を受けていた。
 前回といい、今回といい、恵のフェラチオ技術が未熟なためか、男が自ら腰を振るか、恵の頭を揺さぶる形でイラマチオを行わなければ、男の肉棒は一向に精液を吐き出す気配がない。終わりの見えない上下運動はせっかく回復した恵のわずかな体力を容赦なく奪っていった。

 それから30分。未だに恵の口腔内には硬いままの肉棒が出入りしている。手を使えず、口だけのフェラチオは想像以上にきつく、何度も中断しようと口を離しかけたが、その度に無言で頭を抑えられ、継続を促された。

“もう無理…。”

 身体を傾け、立ち膝で首を伸ばした姿勢でバランスを取りながら行うフェラチオは、もともと生粋の文化系である音楽教師には酷な運動だった。今や、陰茎を出し入れする速度は極端に遅く、口はだらしなく開き、陰茎に吸い付く力はほとんど無い。顔を覆っていた精液は渇き、代わりに玉の汗が額に浮かんでいた。

「4回目はおあずけだな。」

 そう言うと男は、股間に顔を埋め、喉奥にチンポを突っ込みながらほとんど動かなくなっていた恵を引き剥がし、陰茎をしまった。

 男は部屋の中央にあったビニール袋を取りに立ち上がり、再びベッドサイドに戻ってくると、中から取りだしたタオルに二本目のペットボトルの水を含ませ恵の顔を拭く。その丁寧さと優しい感触に驚きつつ、恵はされるがままに従った。
 恵の顔と床に落ちた精液や唾液を拭き終えると、男は次に、空になったペット用の皿を回収し、全く新しい同じ皿を三つ並べ、その中に水とレトルトのお粥、野菜スープを順に入れていった。

 再び飢えさせられるかもしれないと危惧していた恵は、その様子を見ながら心底ホッとした。男の言うことに従順に従ってさえいれば、少なくともご飯はもらえるようだ。

 食事の準備を終えた男は、最後にもう片方の大きなビニール袋から、奇妙な形の物体を取り出した。

 …それは、黄緑とベージュとオレンジで構成された小児用の便器…オマルだった。

「まさか…」

 自分の想像に驚き恐れ、思わず声が出た。
 それを使えというのか?確かにこの部屋にはトイレがない。食事をすれば当然、排泄もしなければならないだろう。何日も絶食していたから、そんな気も起きず意識しなかったけれど…。

 動揺する恵を見もせずに、男はそれを恵の行動範囲内に置いた。返答や指示は全く無い。好きにしろとでも言いたげだ。

 我慢するか、オマルでするか、オマル以外でするかの3択だった。

 この数日で、生理的欲求を我慢することの難しさを嫌と言うほど思い知った。いつかは限界が来る。時間は残酷だ。それならいっそ最初から…。

 そんな思考を男は見抜いていた。この女はなまじ学習能力と理解力があるため、自らが置かれた状況を正確に把握してしまう。そして気づく。他を選択できないことに。だから必ずこれを使うだろう。これが別の女なら、我慢できる可能性の多寡を考えずに、とりあえず限界まで我慢する。場合によっては失禁するかもしれない。しかし、この女は我慢の無意味さを経験し理解している。他の女程は我慢しない。遠からずオマルで排便する姿を晒すことになるだろう。
 下剤を使い、強制的に時間を短縮する事もできるが、男が食事に混入しているのは別の物だった。

“お前がすすんで俺のチンポをしゃぶった時、このゲームは終わっているんだよ。お前の負けでな。あとは勝負じゃない。解き方の分かっている詰め将棋だ。”

 そう。男は恵に選択の余地など与えていなかった。死という選択肢を放棄した恵が向かう先は、性欲処理しか存在意義がない肉便器になる事以外には無いのだ。唯一問題があるとすれば、それは、そうなるまでの時間の長短だけだった。

“その時間も、お前の賢さ自体が短くするするのさ。”

 オマルを床に置いた男はそう考えながら、無言で部屋を後にした。全ては計画通りに進んでいた。


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