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変容
【教師 官能小説】

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変心-10

 恵は再び犬の姿で食事をし、ベッドに横たわった。

 疲労が一気に襲ってくる。絶食により極限まで低下した体力は、食事と睡眠により多少は回復したが、そのわずかな体力は先程の男との行為で再び削り取られた。今一度身体を休めない限り、まともな思考はできそうにない。しかし、襲い来る睡魔に必死で耐えながら、恵はこれからのことを考えた。

 男は言った。100回の射精で解放すると。

 悔しいが、今の状況ではその言葉だけが希望だ。
 現在は3回。あと97回、あの男を射精させねばならない。さっきは口で1回だけだった。1日1回男がやって来るとして、このままではあと3ヶ月以上このままの状態だ。1秒でも早く解放されるには1回の来訪で射精させる回数を増やさなくてはならない。

 性器でのセックスなら、男が動いてくれるため、こちらの疲労も少なく、射精までの時間も口に比べたら短くて済む。結果、回数を増やすことができるかもしれない。しかし、それはできるなら避けたい。
 口でしようが性器でしようが、夫を裏切る行為であることに違いはないが、性器でする方が裏切りの度合いが高い気がするからだ。それに、決定的なのは妊娠の可能性があることだった。
 どれほど頼み込み、懇願しても、あの男はゴムを付けないだろう。外に出してくれと言ってもきっと聞くまい。性器でのセックスは必ず中出し…。

 やはり口しかない。口で1回でも多く男を射精させて、妊娠のリスクを少しでも軽減しなければ。

“でも…あの男を口で射精させるのは…。”

 『次の機会にはもっと上手くやらなければ…』そう恵が考えたところで、とうとう眠気に抗しきれなくなり、恵は眠りに落ちた。


 順調に男の罠にはまっていく恵だったが、十分な量と質の食事、睡眠がとれ、心身が万全の状態であったなら、そのようには考えなかっただろう。例え選択の幅が極端に少なかったとしても、常に脱出の機会を窺っていただろうし、男の意図に従うにしても、そのフリをするだけで、こうも諾々と踊らされることは無かったはずだ。

 しかし、男は恵が思っている以上に巧妙だった。
 恵の判断力を鈍らせるために、食事の量を最低限にするだけでなく、会話を極力しないことで情報量を制限する。さらには窓の無い部屋にすることで時間の感覚を麻痺させる。もちろん、空調により一定温度を保ち、防音設備により外界の音をシャットアウトすることも情報量制限と時間感覚麻痺を助長させている。加えて、部屋を訪れる間隔も不規則にしていた。

 巧みに思考誘導を行う男の次の手は、すでに芽吹き成長しつつある恵の
『射精』への積極性をより大きくすることだった。そして、そのための布石はすでに何個も打たれていた。



 顔をピチピチ叩かれる感触に、恵は目を醒ました。
 よほど疲れていたのだろう。夢すら見ない深い眠りから覚めた恵は、ぼんやりとした意識で上体を起こした。身体を覆っていた毛布がずり下がって小さな胸が露わになるが、もうそんなことは気にならない。

 次第にはっきりしてくる視界に飛び込んできたのは、鼻の先10センチにある男の陰茎だった。

 いきなりのことにビックリした恵だったが、眠りに就く前に考えていたことを思い出した。

“とにかく、口で回数をこなさないと”

 恵は躊躇いなく口を開け、陰茎を飲み込んだ。
 寝起きで口の中はカラカラだ。精一杯奥まで陰茎をくわえながら、まずは舌を使って舐め回した。

 目覚めてからわずか30秒でチンポをくわえる恵の姿を見下ろしながら、男はニヤリと笑った。

“順調だな。では、次に移るとしよう。”

 男は恵の口腔内にある自らの陰茎に意識を集中した。

 口唇奉仕を始めて1分。全く大きくなる様子を見せない陰茎が、恵の口腔内でいきなり膨らんだ。とっさに射精かと緊張した瞬間、男の陰茎は精液とは異なる液体を口腔内に吐き出した。

“おしっこ!”

 舌にアンモニアの味を感じた瞬間、恵は男の陰茎を吐き出した。口から尿が零れる。

「ゲホッ、ゲホッ!オェッ!」

 恵のえづきが収まるのを男は黙して待った。排尿は止まっている。どうやら最初からほんの少量だけを口の中に出すつもりだったらしい。

 咳が落ち着き、爆発寸前の怒りがこもった目で男を睨み見上げた恵に、男は一欠片も動揺を見せずに声をかけた。

「小便を飲んだら、それも1回としてカウントしてやる。どうするかはお前が決めろ。」

 恵は男を睨んだままだ。
 反抗的な態度は不測の事態を招く恐れがあった。事実、男の命令に従わなかったために餓死寸前まで追い込まれた。躊躇い無く人を殺す殺人者でもある。だが、反射的にとってしまった行動の収め所が見つけられない…。
次第に力を失っていく瞳。しかし、顔は男を睨みつけたままで、眉間には皺が寄っている。

 そんな恵を無感動に見下ろしていた男は、不意にふっと軽く笑うと、陰茎を出したままベッドと壁の間に置いてあったオマルの所まで行き、フタを開けて立ち小便を始めた。
 勢いよく出される小便がオマルの中に吸い込まれていく。弾けた飛沫のいくらかはオマルの外に飛び散っていたが、男はお構いなしに排尿を続けた。やがて尿の勢いは無くなり、ジョボジョボといった音が次第に小さくなっていった。

 男は排尿が済むと、オマルの横に置いてあったトイレットペーパーで飛び散った尿を拭き取り、それをオマルに入れてフタをしてから陰茎をしまった。男はそのまま、恵の方を見ることなく、背を向けて部屋を去っていった。


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