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もう君に会えない
【大人 恋愛小説】

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それぞれの道1-13

その前夜はさんざんイチャついてから眠りについたくせに、いざあたしが寝るとこうやってバカな真似をして。


付き合う前の大人な久留米さんとは全く違う一面に、すごくびっくりしたことを思い出した。


「それだけお前に心許してるってことだろ?」


しれっと調子のいいことを言う涼しい顔がまたムカつく。


「普通彼女にこんなバカなことばっかする?

久留米さんは今まで付き合ってきた女の子とか芽衣子さんにもこんな真似してきたの!?」


彼の頬をつねる手に力を込めてやると、久留米さんも負けじとあたしの両頬をつまんで、それを思いっきり左右に引っ張った。


「ひょ、ひょっほ、いはい……」


ちょ、ちょっと、痛い……と、本当は言いたい。


思わぬ反撃に、あたしは彼の頬から手を離してしまった。


「安心しろ、こんなことはお前にしかしてねえ」


それだけ聞くと甘い言葉のように思えるけど、“こんなこと”の内容があまりにひどいから、ちっとも嬉しくない。


つーか、ホントに痛いし!!


あたしがギブアップと言わんばかりに彼の手をバシバシ叩くと、やっとのことでその手を解放してくれた。


ヒリヒリしたほっぺを撫でていると、ジワリと涙が滲んできた。




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