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5千円のハグ
【その他 官能小説】

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病院で-2

ワイは看護助手で下の洗浄までしてくれる山本さんというおばさんと仲良くなった。
それでワイはペンネームが遠坂瑠衣という三流物書きだと言って、私書箱の郵便物を取りに行ったり、手紙を投函したりする仕事を頼んだ。
なに、ちょっとおいしいお菓子を買って来てもらって少しだけ食べて後はそのおばさんにやったりするだけで、引き受けてくれるようになるもんや。
わいは早速3人に手紙を書いたんや。
『泉芹菜さん、高橋香さん、土門尚美さん。お元気ですか? 仰るとおり私は人前に顔を出すことで自分のしている行為が売名行為に変ってしまうことを恐れているのです。
でも、間違いなく私が実際に存在しているのだということを貴女たちにお知らせする為にあの日あの時間私は最初から最後まで少し離れたところであなた達3人を見ていました。』
ワイは、あのときの3人の服装を細かく書いてみせてから続けた。
『何人もの女性たちが貴女達に話しかけましたね。特にバッグの中の物をばらまいてしまった人のときには、あなた達は親切に拾ってあげてました。
そのうち時間が来たのであなた達は急いで噴水から離れて行きました。
きっとあの後で別の用事があったのでしょう。この通り私はあなた達のことを生で見ました。私はいつもあなた達を見守っています。どうかこれからもそのことを忘れずに強く生きて行って下さい
さて別件になりますが、実は私は体調が悪くこのたび入院することになりました。
けれどもお手紙は読めますのでこれからもお便りは気兼ねせずに書いて下さいね。
それでは3人ともお体に……(後略)』
ワイはこの手紙の投函を看護助手のおばさんに頼んだんや。
彼女達はワイの手紙を読むと必ずその日のうちに返事を書いてくれるようなんや、だからいつごろ返事が来るか予想はつくくらいや。
だからその頃に手紙を私書箱に取りに行くようにおばさんに頼んでおいたんや。
ワイは返事が来るのを楽しみにして眠ることにした。
体の痛みもそういうことを考えるといくらか和らぐような気がする。
ワイは彼女たちに傷つけられて、どこかでほっとしてるのや。これでお互い犯罪したからチャラになったとか、そんなずるいこと考えてるのかもしれんなあ。
まあ、ワイらしい卑怯な考え方やけど……。

 


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