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5千円のハグ
【その他 官能小説】

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病院で-3



数日後おばさんが虹色の封筒に入った手紙を持って来てくれた。ワイは封を開けて3人の手紙を読んだ。

『遠坂瑠衣さん、あの日ずっと私たちを見ていらしたのですね。ありがとうございます。
実際に私たちに話しかけた人の中の1人だったらどんなによかったかと思いましたが、でも私たちに見つかりたくないので離れた所で見てらしたのですね。
ところで私達は貴女の期待を裏切るようなことをしてしまいました。
実は私たちがあの場所から急いで離れたのはある人物を見つけたからです。
その人は私たちが高校をやめるきっかけになった人です。
あなたとは真逆の……お金の力で子どもの未来を奪うような卑怯な人です。
3年ぶりにその男を見つけて、私達はどうにも我慢ができずに後をつけて掴まえました。
そして私達は1人一回ずつですが、その人を叩いたり蹴ったりしました。
謝っていたのですが、とんちんかんなことを言ったりでつい腹が立ってしまったのです。
それがつい強過ぎたために重い怪我をさせてしまい、救急車を呼んだのですが私達はその場から逃げ出してしまいました。
折角遠坂さんから援助して頂いて正しく生きる道を歩もうとしていた矢先だったのに、何もかも台無しにしてしまいました。
本当にごめんなさい。
私達は相談してその後自首しようかと思いましたが、その人は何故か私たちにやられたとは言わずに行きずりの強盗に襲われたと警察に嘘を言って誤魔化したみたいです。
ほら、中央公園付近の公園裏で襲われた坂井徹という男です。
私達は自首することで、その男の過去の罪も暴こうと思います。
でもその前にお世話になった遠坂さんのご意見を聞いて許しを得なければと思い、告白しました。
どうか……(後略)』
ワイは手紙を読み終わって、ふと病室の外に人影が映ったのに気がついた。ワイは助手のおばさんに誰か来てるらしいと知らせた。けれどもおばさんが部屋のドアを開けたときには誰もいなかったという。
ワイは手紙を読んでどう返事を書けば良いのか迷った。
結局都合の良いことかもしれないけれど、その男のことは忘れてあげなさいとでも書こうと思った。
『(前略)……その男が強盗に襲われたと嘘をついたのは、きっと自分の罪も暴かれてしまうのが怖いのでしょう。確かにそうかもしれないけれど、あなたたちに叩かれたりして十分懲りたと思います。
あなたたちには、もうそんな過去に拘る人生を歩んでほしくはありません。
どうかそれぞれの道を歩いて下さい。坂井さんには私の方からこっそり入院代など援助してあげようと思っています。
だから安心して下さい。あなたたちは少しも悪くないのです。……(後略)』
そこまで書くとワイはペンを置いてベッドに横になった。

 


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