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恋心あれば水心
【女性向け 官能小説】

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-2


「企画部の村上くん。人の女を盗っちゃいけないな」

思いっきりカッコいい顔で口角をあげて笑う姿はいやみを通り過ぎてカッコいい。

「新田は山田さんのモノだと決まっているわけじゃない」
「まだね」
「新田は迷ってる。だから今日来たんだ」
「まぁねぇ」

「俺は新田を好きだから。山田さんに負けないぐらい好きだから」

村上が私の知っている村上とは別人のように山田さんに食ってかかった。

「だから、茶番劇は終了だって」
「茶番劇じゃない!」
「このまま帰って希望から手を引けば、俺は何も言わない」
「何を・・・?」
「見当つかない?俺は経営管理の主任の山田だよ」

山田さんは圧倒的な威圧感で、座っている村上を上から抑え込むような視線で言い放つ。

「だから?」

それでもなお開き直る村上に
山田さんはカバンから数枚の紙を取り出した。

ひったくるようにそれに目を通した村上は
「違法だろ!」
と立ちあがって捲し立てたが

「社の備品のPCだ。社のネットワークだ。就業時間内だ。閲覧権利は会社にある。
そして経営管理部は閲覧権限を会社から与えられてる」

あくまでも冷静にビジネスライクに言う山田さんに
村上は雰囲気だけでもすでに負けていた。

「今すぐこの場から消えろ。
今後一切希望に近づくな。希望は、おれの、だ」

そこまで言うと紙を村上から奪い取った。
村上は悪態を突いた後、静かに店を出て行った。






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