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恋心あれば水心
【女性向け 官能小説】

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-5


「半田。今日は急いで帰らないの?」

久しぶりの山田さんの声に私の心が反応する。

半田?半田さんって誰だろう?
あの辺は建築営業部・・・かな?

「ん〜・・・どっかでごはん食べて行こうか考えているところ」

あ・・・・
半田さんって、建築営業の半田さんだ!
女性なのに営業成績がすごく良いって。
そうか。山田さんの同期?


「んじゃ、たまには俺と食べに行くか?」
「山田のおごり?」
「おまえさ〜。お前も稼いでんだろ?」
「はい。山田のおごり決定〜。駅前の居酒屋でいいよね」

そんな会話が聞こえてきた。

私と食べる時間はなくても
半田さんとは食べに行くんだ。

私にメールする時間はなくても
半田さんには声をかけるんだ。

私はそっと反対側のエレベーターに向かった。

私は心のザワザワを理解できないまま家に帰った。
ご飯を食べテレビを見てやっと帰ってきた父を
玄関先で捕まえてにじり寄る。

「お父さん。男って出世したいよね?」
「ん?なんだ急に」
「男って出世したいよね?」
「まぁ大抵の男はな」
「私と・・・常務の娘と結婚すれば出世街道も開けるよね?」
「・・・・・山田と何かあったか?」
「答えてよ。ねぇ。私は常務の娘なんだよ」

お父さんの前で泣くのは本当に何年振りだろう。

「何があったのか知らないが、山田はそんな男じゃない」
「お父さんに山田さんの何が分かるの?」
「入社のとき、部長だった俺が直接新人指導した」
「だって、そんなの何年も前でしょう!」

「希望。人間の本質は何年たっても変わらないよ。
ずるい奴はやっぱりずるい。残念ながらな。
誠実な奴は誠実だよ。何年たっても」

「・・・・・」

「俺は希望とは比べられないぐらいの数の男を見てきた。
男の本質を見抜く目は希望より持ってると思うぞ」

そう言ってお父さんは私の肩をぽんと叩いた。



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