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鳳学院の秘密
【学園物 官能小説】

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第5章 教育-8

 『こちらブラボーワン、目標からいまだ有益な情報は得られず、ど〜ぞ』
 『司令部了解、監視を継続せよ。でも、目標には絶対近づかないでくださいね』
 『ブラボーワン、了解。ねぇ、瀬里奈まだ怒ってる?』
 『カンカンですわ、お昼にも来ないしって怒ってます。後でちゃんと仲直りしてくださいね』
 『ブラボーワン、了解。以上、交信終わり』
 そっか〜、まだ怒ってるのか。突発的な怒りは冷めるのも早く、朝のことはすでに後悔してるのだが、調査をやめるつもりはないし、今顔を合わせるとまた喧嘩になりそう。これで九条に動きがなかったら、喧嘩しただけ損になるわね。そんなことを考えながら、監視の方に意識を戻した。
 本当は瀬里奈が朝から学院に姿を見せず、紫苑が嘘をついてるなど夢にも思わぬことだった。


 バタンと、寮のドアが閉まるのを確認し、ついに溜め息が口から洩れる。
 は〜、今日は空振りかな〜。
 男子学生寮の植え込みの陰で、あたしはがっくり腰を落とす。時計に目をやると七時を回っており、日はとっぷり暮れていた。
 放課後以降の九条会長の行動は、実に面白みのないものだった。生徒会室で遅くまで執務をこなした後、生徒会役員達と食堂で夕食。その後、寮の自室に戻るまでを追ったのだが、その間怪しい会話は何一つなされず、おかげで監視は非常に退屈なものとなった。
 結果的に修学中の九条に怪しいところはなかったわけだが、動き出すのはこれからかもしれない。あたしはタブレットPCを取り出すと、九条私室の監視装置を起動させる。
 さすがに一日中張り付いてるわけにもいかないので、私室の監視にはパソコンを使うことにした。午前中の体育をエスケープしてこっそり寮に忍び込み、二つの監視装置を取り付けるのは骨が折れたけど、首尾は上々。カモフラージュして壁に取り付けたコンクリートマイクは、室内の音をトランスミッターで飛ばし、中継器をリレーしてタブレットPCまで音声を届けてくれる。同じく監視カメラも寮の入り口を見張っており、低照度でも動体検知ソフトと顔認証ソフトが作動するので、例え夜中であっても誰かがここを通れば、録画する仕組みにしてある。
 しかしマイクがら聞こえてきたのは、何やら大勢の笑い声。多分テレビじゃないかな、バラエティー番組らしき音を聞くと、なんだか馬鹿らしくなってきた。監視装置が録音、録画していることだし、すぐに何かをする気配もなさそう。いい加減疲れたし、そろそろ潮時かな。そう考えたあたしは、一旦撤収することにした。
 あ〜あ。お腹減ったし、シャワーも浴びたい。一日中監視していたことより、徒労に終わったことにがっかり来ちゃった。やっぱり交代要員もなく、一人で監視するのは無理があるわね。
 こう言う時に瀬里奈が手伝ってくれるとありがたいのに。でもよっぽど怒ってるみたいで、さっきメールで『まだ怒ってる?』って送ってみたものの、何の返事も返ってこない。久しぶりに孤独な気分を味わいながら、遅めの夕食を摂るため、食堂へと足を向ける。


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