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妖怪艶義〜天使〜
【OL/お姉さん 官能小説】

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妖怪艶義〜天使〜-1

――復活の時には、めとることも嫁ぐこともなく、天使のようになるのだ。――(「マタイによる福音書」22章30節、日本聖書協会発行 「新約聖書 新共同訳」より抜粋)



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『はぁ・・・・。』

ベッドに寝転んで溜息をつく。

…リエと別れてから一週間。向こうから切り出されたとはいえ、自分がこんなに落ち込むとは思わなかった。

リエとは大学のサークルで知り合った。
最初は友達だったのがどちらからともなく意識し始め、4回の今まで‘なんとなく恋人同士’の関係を続けてきた。
それを突然、‘ごめん。他に好きな人ができた’との月並み過ぎるありふれた理由で、リエの方から打ち切ってきたのだ。

『はぁぁ・・・・。』

思い出してまたブルーになる。…本当に、こんなにもリエに依存していたとは、夢にも思っていなかった。

卒論に就活と、やらねばならない事は山ほどあるのに、まったく気力が湧いてこない。
――とりあえず、明日は何の予定もないし、ひとまずゴロゴロしていよう・・・。

そう決めると少しだけ気が楽になって、現金なことに股間のあたりがムズムズしてくる。
思えばリエと別れてから、自分で処理もしていない。
別に身体目当てだったわけじゃあないが、リエとのセックスだって俺の生活の一部だったのだ。

『・・・はぁ。』

色々思い出してモノが萎える。
あきらめて寝返りを打つと、本棚に並んだ緑の装丁の本が、偶然目に入った。

「新約聖書」。

高校生の頃、学校の前で配っていたのを興味本位でもらった物だ。
別に信仰しているつもりはないのだが、両親が信徒で、実は実家の近くの教会で俺も洗礼を受けたらしい。ということは、一応信徒になるのだろう。

…いま目に入ったのも何かの縁か。
俺の傷心を救うほど神様もヒマじゃなかろうが、心を落ち着ける効果ぐらいはあるかもしれない。

そう思ってベッドから下りる。それっぽく居住まいを正して膝をつき、手を胸の前で組んで、おそらくは十数年ぶりに神に祈ってみた。

…うん、なんとなく落ち着いてきた気がする。
その割に、やけに目の前が眩しいのはどうしてだろう。
おまけに、ばさばさと羽ばたくような幻聴まで聞こえるとは。精神科にかかった方がいいだろうか?

そこまで考えて、おそるおそる目を開ける。

目の前に、純白の翼と、絵に描いたようなブロンド美女の姿が見えた。


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