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君を救いたい
【純愛 恋愛小説】

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悲劇の再開-5

「あっ・・」

棚の上に見覚えのある置物があった、それはコンサドーレのイメージキャラクターの
ぬいぐるみだった

それは以前、俺が東京に樹里奈と遊びに行った頃、ゲームセンターに寄った際クレーンゲームでやっとの思いでゲットした品物だ

電車の時間が迫ってるのにも関わらず、ウキウキ気分が止まらない俺がそのぬいぐるみを
目にし無償に欲しくなり何回も、百円玉を投入し横で急かす樹里奈の声を軽く無視し
そしてようやく手に入れたものだ
あの後、樹里奈に軽く駄目だしされ駆け足で東京駅へと足を蹴った思い出の一品だ
旅行を楽しませてくれたお礼と、このぬいぐるみを彼女に手渡したのだが
その時の彼女の顔は、イマイチと苦笑を浮かべていた事を今でも記憶している

つまり彼女にとってこんな置物、空気の読めないダメ彼氏のくだらないうんちく品と
いっても過言では無く、燃えるゴミの日にでも投げるか若しくは普段開ける事も無い
物置部屋にでも封印するなりしても可笑しくないのにこうして事実普段目に入る所に
置いてあるという事は・・

「・・樹里奈」
急に胸が熱くなって来た、彼女は俺の好意が嬉しかったんだろう
だからこんな冴えない置物でも大事そうに置いて、良く見たら汚らしい毛髪一つ無い
きっと時々このぬいぐるみにローラー掛けを掛けているのだろう
大事そうにそれを行う彼女の姿が目に浮かぶ


「そうか・・・・」
「そうだったんだ・・」

俺はふと父さんに言われた事を思い返す

「辛い想いをするだけだ・・」

あれは身近に犯罪者がいてそれを世間体しか考えずその犯罪者から非難しろ・・
という遠まわしの言い方では無かったんだ


認めたくは無い

彼女が

俺の大好きな樹里奈はもう元には戻らない

俺の好きな彼女の明るい笑顔はもう目にする事はない

だから・・だからもう彼女の事は忘れた方がいい・・


そういう事だったんだね・・父さん


俺はその場で糸の切れた操り人形の様に崩れ落ち
茜色の空が、窓辺から俺の背中を照らす・・





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