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アネクメネ・オアシス
【ファンタジー 官能小説】

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ソレゾレノケツイ-3


「申し訳ありません……貴重なベランナの実を……大量に使ってしまって……」

 何故、除草剤を作っていたのか忘れてしまったかもしれないが……リュディの体内に居る吸血蔦から株分けされた吸血蔦が、砂漠都市エザルで繁殖する前に枯らす為に作っていたのだ。
 リュディの体内に居る吸血蔦は、彼女が遺伝子操作して魔草と組み合わせた特別製。
 動く肉食植物ザルスと組み合わせる事により、自ら寄生する獲物を探すようになっている。
 更に、普通の株種にはあり得ない、種を飛ばして繁殖する事も出来るという素晴らしい繁殖力も持つ。
 更に更に、種の状態なら暑さ寒さにも強いという生命力。
 普通の植物なら喜ばしい能力だが、リュディの作った吸血蔦は、元々自然界に無いものだ。
 それが異常繁殖などしたら、生態系が壊れるうえに、下手したら生き物全てが吸血蔦に寄生されてしまう。
 それを防ぐ為、確実に枯らせられる強力な除草剤を急いで作り、やっと完成したところだ。

「いいえ。貴女のお役にたつことが出来るならばこのランスロット、命さえ惜しくはありませんよ♪」

「……ランス様……」

「リュディヴィーヌ嬢♪」

 手を取り合って見つめ合う2人。

「……説得力がありません……」

 語尾に♪などつけて言われても軽快過ぎて嘘臭い、とリュディはランスの手の甲をきゅっと摘まんだ。

「いたた、う〜ん……また失敗か」

 アハハ、と笑って手を離すランスをリュディは変なモノを見る様な目付きで眺めた。

「……可笑しな方ですね……ランス様は」

 王子という身分のくせに、体内に植物を飼って居るような両性具有の人間を普通の女性の様に扱う。
 それどころか口説くような素振りまで……遊ぶにしても、もう少し相手は選んだ方が良いのではないかと思うリュディ。

「美しいものは美しい。素晴らしいものは素晴らしい。私は私を信じていますから」

「……はあ……」

 リュディは良く分からずに首を傾げた。

「貴女は美しい♪貴女は素晴らしい♪私の本心です♪是非とも私の妃になっていただきたい♪」

「……はあ……」

「「…………」」

 暫しの沈黙。

「……………………はあ?!」

 ランスの言葉をやっと理解したリュディは間抜けな声を上げてしまい、慌てて両手で口を塞いだ。



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