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不貞の代償
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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ダビング-2

「へー」と際限なく続きそうな話を大きな声で遮ってから「すごいんだね。朝はしっかり食べるんだ。えらいなあ。まねできないよ。優秀だねぇ。現代人の鏡だねぇ。だから健康なんだな。入社してから休んだことがないのは君だけだもんな」と褒め称えた。石橋の入社以来の資料を見て「バカは本当に病気しねんだな」と辺り構わず吹聴しまくったことはさておき。
「はい、幼稚園から休み無しです。えー、昼はですね……」――と自慢げに続けるが「会社だよね」――と沼田は言って「幼稚園からかよ」と口の中でつぶやき、呆れ返った顔であんぐりと口を開いた。
「ですね、会社です、へへへ……。でも休みの日は……」
 仕方がないので、食べ物の話が延々と続くのを辛抱強く待った。
「あーあ、石橋君の美味しそうな話を聞いてお腹空いたよ」
「あはは、僕もです」
 そう言ってから「しまった」――の顔をしたが、もう遅い。
「夜はどうするの?」
「夜は、えー、て、適当です」
「そう、適当なんだ。で、今日はどうするの? おなかぺこぺこだよね」
 沼田は目を細めた。
「おっしゃるとおり。いやいや、今日は特には、まだ……」と言いよどむ石橋に沼田はたたみかける。「まだだったら、ちょっと一杯ひっかけていかないかい? ね、美味しいものでも食べようよ。おごるから、わたしがぜーんぶおごるから。中華でもいし洋食でもいいね。フランス料理でもイタリア……なんならベトナム料理でも韓国料理でも、インドでもタイでもスペインでもいいし。ああ、バイキングでもいいな、ほら、会社の九十周年記念をやったことがる、あそこの大きなホテルで。ラムステーキ、美味しかったなぁ。そうそう、隣に高級レストランもあるよね。そこでの焼きたてのパンなんか、ほっぺたが落ちちゃうくらい旨いだろうな。サーロインのビーフステーキがいいかな。うーん、寿司もいいね。大トロとかアワビ、イクラ、カニ、旬の光り物もいいねえ。そうだ、焼き肉はどうだい? 最高級特選霜降りカルビなんか食べたいねぇ。いくらするのだろうねえ。いやいやお金なんか気にしなくていいよ。全部僕に任せてくれればいい。おなかいっぱい食べてもらってかまわないから。石橋君はまだ食べるところが決まっていないようだからさ」
 嬉々とした顔で石橋の顔を覗き込んだ。石橋はよだれを垂らしそうな顔で聞いていた。「じゃあ少しだけ。ほんの少しだけなら」――と、うなずいていた。こうして石橋は沼田の術中にはまった。ろくな理解もないまま曖昧にうなずいてしまう。これが沼田の営業力であり、スッポンの沼田との異名を取る所以である。
 以前、石橋と二人きりで入ったあの居酒屋を、揺るぎない足取りで目指したのであった。


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