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もっとスマートな恋を♪(クラス1-A@)
【青春 恋愛小説】

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赤木智紀-1

【赤木 智紀】

泣いてたなあ。それにあの目…。オレはあの目に打ちのめされていた。


この春、高校に進学したオレは当然のようにバスケ部に入部した。バスケを始めたのは近所に住む2歳年上の従姉の香織の影響だった。

「智紀はすばしっこいからきっと上手くなるよ。入りなよ」

小学校3年の時に、ミニバスをやっていた5年の香織から誘われるままに始めたので、もう7年程やっている。

中学校に入ってから背もグンと伸び、中学時代もレギュラーでそこそこの成績を収めた。

そして小、中学校は仕方がないにしても、何の因果か香織が通う高校に後を追うように入学してしまった。因みに高校3年生の香織は女バスのキャプテンをしている。

「オレが従弟ってことは学校で絶対に言うなよ」

小、中学校時代は、香織の2歳下の従弟ということで、香織の同学年女子から散々からかわれ続けていたオレは、高校に入る時に香織に釘を刺した。

「どうして?」

「どうしてもこうしてもない、学校では絶対に気安く智紀って声を掛けるなよ」

小、中学校時代のオレは、香織の従弟ということで、ボールを持つと「きゃあ、ともきくん、カッコいいわよ〜、きゃはは〜」と黄色い声援を浴びることが常だった。

香織が卒業して居なくなっても、後輩たちはその悪しき習慣を継承し、応援の掛け声にはいつも「きゃはは〜」の要素が含まれていた。オレはその度に香織に怒りを覚えたものだ。オレはこのことをコンコンと香織に説明した。

「みんな応援してくれてるんでしょ。何がダメなのよ」

「『きゃはは〜』は応援じゃねえ!」

オレが怒りをぶつけると、香織は一瞬キョトンとした顔をして「きゃはは、智紀、可愛い〜」と笑った。

ダメだこりゃ。と思ったがしつこく念を押し続けると、ようやく香織もわかってくれたみたいだ。

「わかったわかった。内緒にしといてあげる」

オレはホッとした。

入部してから一週間がたった頃に、家に来ていた香織がオレの部屋に入ってきた。

オレの母親の姉の叔母一家は近所に住んでいて、時折一家そろって一緒に夕食を食べることがある。この日はその親族食事会の日だった。

「ねえ、今日女バスに入部した本多って子、中学の時、テニスの県大会で優勝したそうじゃない。知ってた?」

「へっ?本多って?」

誰だろ?

「智紀と同じ1ーAの子でしょ。ほら、耳出しショートの可愛い子」

「ああ、あの子か」

香織が言った『本多』と、同じクラスのショートヘアの子が脳内で結びついた。

「今日そのことで大変だったんだよ。どうしてテニス部じゃなく女バスに入ったか気にならない?」

「別に」

香織は関心を示していたが、オレの興味はそれほど湧かなかった。

「もう!智紀ったらしゃべり甲斐がないんだから」

香織が睨んできたので、適当にあしらうことにしよう。

「悪い悪い、で、どうして女バスに入ったんだ?」

ウソでも興味が有ることを示すと香織の機嫌が良くなった。

「実は今日ね、白石先生に用事が有って職員室にいったら、当の本多さんと白石先生と松岡先生がそのことで話し合ってたのよ」

白石麻都佳(しらいしまどか)先生はオレのクラスの担任教師で女バスの顧問もしている。松岡はテニス部の熱血顧問だ。松岡のことは入学前に香織から聞いていた。クラブの説明会の時も、松岡自ら乗り出してとても暑苦しくテニスについて語っていた。

「白石センセ、可哀想に」

オレにも話の展開が容易に予想されたので、心優しい白石先生を不憫に思った。

「その通りなのよ。松岡ったら『どうしてテニスじゃなくてバスケなんだ!テニスに対する情熱はどうした!』って感じで、白石先生はオロオロするばかりだったのよ」

「だろうな。で、本多は熱血勧誘にどう対応したんだ?」

「本多さんね、『テニスみたいな個人スポーツは生涯スポーツとして今後も楽しめますが、チームスポーツは今しかできません。だから、あたしは高校ではチームスポーツをやりたいんです』って言ったのよ」

「へええ、しっかりしてるなあ」

香織が勧めるままバスケを始めてそのまま続けてるけど、今までそんな風に考えたことも無かった。


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