投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

手の温もり
【悲恋 恋愛小説】

手の温もりの最初へ 手の温もり 2 手の温もり 4 手の温もりの最後へ

一線-1

彼とは直接会うことはしなかった

学校でも同級生という形のみ

電話やメモだけのやりとりだけだった

まだ越えてはいけないという背徳感があったのかも知れない

それが一瞬で無くなったのはこの瞬間だった

メモには『今日の夜7時に教室に来て』と

彼に直接触れ合っていたのは

手の温もりだけだった

それが慣れてくると物足りなくなってしまう

夜ならば誰にも見られずに彼の手以外も触れることが出来る

私の中であの子のことは完全に消えていた

私の心は彼しか考えられなくなっていた

夜7時

この瞬間に越えてはいけない一線を越えた

教室で待っている彼は

月明かりに照らされた横顔が綺麗だった

これからは何回も夜の教室で会い続けた

始めは普段通っている教室だから

同級生の顔がちらついた

しかし今まで抑えていたものが溢れると止まらなくなる

もう自分でさえも止められなくなっていた

これからはどんなことをするにも迷いがなかった

気付けば高校卒業の日を迎えていた

3年間で完全に彼から離れることが出来ない状態になっていた

卒業後は周りの目を気にすることがなくなったので

旅行等を堂々と行った

しかし彼と付き合うことはなかった

彼はあの子と別れたが

直ぐに新しい彼女が出来た

それでも私達の関係は続いていく

あの手の温もりは鎖だったのかも知れない

触れ合う度に鎖を何重にもかけられる

あの頃に私の将来は決まってしまったのかも…

一生離れられない関係に

私は彼から解き放たれることがないのかも知れない

彼が離そうとしてもついて行く

温もりという見えない鎖でつながっているから



手の温もりの最初へ 手の温もり 2 手の温もり 4 手の温もりの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前