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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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佐藤家の過去-1

「いやー今日は楽しかったねー」
「うん!ホント」

この日、しゅうは樹里奈に連れられ彼の大好きなサッカーチームが出場する、東京の
国立競技場へ足を運び試合を楽しんだ

「でも、ゴメンね・・俺なんかの為に色々とやってくれたそうで・・」

彼の為、樹里奈は東京までの運賃やチケット代などを知り合いが勤めていて彼女自身も
良く足を運ぶ本屋でせっせことコツコツとバイトをしその費用を貯めたのだ
・・正直、失敗をして先輩に怒られたり態度の悪い客に罵られたりしてウンザリする時も
あった・・ダガその度に

「一度で良いから生で試合を観てみたいなぁー」

サッカーの大好きな彼が大好きなチームを生で観戦しそして喉が枯れるほどに応援をし
そのチームが点を取るたび歓声を挙げ、目をキラキラさせ楽しい一時を味わう彼を思い
浮かべ、自身で決めて苦労を乗り越えて行ったのだ・・

そしてその試合での感動が今だ印象に残り、東京の街を歩きつつさっきから横で
チームの良い所を独り言で言い続けて居て
その横顔を見て樹里奈は心の底からホッと胸を撫で下ろす

それから二人はせっかく東京まで来たので思ったより余った費用で二人で東京の街を
ぶらつく事に・・


 デパートにて
「どう!?似合う?」
試着室から出てきて、しゅうに自信のある服に着替えた自身を見せびらかす

「・・あ、・・うんっ!素敵!」
しゅうは素直に顔を赤くし素敵な目の前の彼女に惚れ惚れし


動物園にて
「わぁー、食べた食べたぁー可ぁ愛ぃー!何て愛くるしいの!」
猿の餌やり体験を行った樹里奈は素直に餌を食べてくれた猿にご満悦のようで

「しゅうもやって見れば?」
「そうかい?じゃー・・よ、よーしっ!」

彼も樹里奈に続き猿に餌をやる為、餌を手の平にのせた手を猿の口に伸ばすと・・
「ウキッウキキキィ!」
「うわぁっ!」

その猿は彼の手の平にのった餌と一緒に彼の手まで食べようとし噛み付き
「だ、大丈夫ですか?こいつちょっと不器用なモノで」
「いや、良いです大丈夫ですアハハ・・」

しかし彼の手には血が流れ、眉を濁らせるしゅうそして樹里奈に違う所を見に行こうと
誘うと彼女の姿は無く、代わりに
「ウキッ?ウキィィィィっ!
「くぉんのぉ糞馬鹿猿がぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!なんつー事ぉぉぉっっ!!」
「・・・」
猿を物凄い形相で追いかける樹里奈・・


「いやー、今日は何だか疲れたね」
「・・うん、まぁね」
遊び疲れた二人は小腹が空き、休憩を兼ねてレストランで食事をする事に

「何だか久しぶりだったなぁー、こうして遊びに行く・・何て何年ぶりかな・・」
何処か遠い目をしハンバーグにナイフとフォークが進むしゅう

延々と食べるしゅうを見つめ、意を決っするかの様にその口を開ける
「・・ねぇ、しゅう」
「何?食べないの?」

こちらの気持ちに気づかない彼、ダガ更に一歩前に踏み出し言う
「私の事、どう思ってる?」
「えっ?・・・(ゴクリ)」

食事を喉に通し、彼女の言葉に不思議を抱きつつ彼女を見つめお冷に手を伸ばす
彼は自分の想いに、全く届いて無いと感じ、そして自分が下らない愚問をしてしまった
事に後悔し、そんな微妙な空気を振り切るかのように

「何でもないっゴメンねっ・・、あっお口にソースが付いてるぞっ!」
「ちょっちょっと止めてよっ一人で出来るよー!」
嫌がるしゅうを他所に彼の口の汚れを取る樹里奈・・


それから自分達の住む馴染みの街へ戻り、すっかり日が落ちた夜道を帰宅する
「いやー、今日は楽しかったぁーお土産も買っちゃったぁー!」
土産袋を軽く振り回し上機嫌に彼に背を向け歩く

しゅうは私の事をどう思っているんだろう?、デート(少なくとも樹里奈はそう思う)
の様な事を今日彼と共にした樹里奈
私は彼の為に色々な働きをした、だから彼が私に振り向いてくれてもいいんじゃないか?

彼女の目的は悪魔で大好きな彼が・・しゅうが、不幸から救われ幸せになる・・
それこそが彼女の本来の目的・・だけど樹里奈とてまだ一人の女子中学生・・
大好きで可愛い彼に振り向いて欲しい、そしてもっと私に話しかけもっともっと私を
頼って欲しい・・、それが彼女の欲望・・悪い意味で表現するのであれば

ダガ、旅行が楽しくて彼の事など忘れ、はしゃぐ彼女を演じつつも内心では彼を気に掛け
ているのに、時より彼の顔を覗かせ彼が自分に気に掛けているかを確認するも
しゅうはこれからまた辛いバイトなどが待っていて、もう楽しい日々は終わりか・・
とでも言わんばかりに眉に力が無く、冷たいアスファルトに先ほどからずっと視線を
送り、時より小さな溜息を耳にし・・・・

・・結局彼は何にも変わらなかったのだ・・・・私に対する想いも、そして
彼自信が自分を大切にし私で無くても良い、他人の誰にでもつらい、苦しい、助けて
と、他人が心配するからって、何でも自分一人で苦労を背負い込む・・
と言う、彼の良い所であり、そしてとっても悪い問題点は改善されずにいて

「・・やっぱ、人は簡単には変わらない・・か・・」
彼に聞こえない様、独り言を愚痴る樹里奈


そして分かれ道になり
「それじゃ、今日は楽しかったよ有難うね・・」
樹里奈にお礼の言葉を言うしゅう・・楽しくて感謝している事には変わりは無いのだが
彼は、それから彼女の身を案じる言葉を掛けしゅうは樹里奈を後にし
暗い夜道へと消えて行った・・・・




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