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Twin's Story 外伝「Hot Chocolate Time 2」〜男の矜持タイム
【OL/お姉さん 官能小説】

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修平の矜持-1

 下町にある古い長屋風の食堂街。その狭い路地を入ったところにある、行きつけの『おたふく』という大衆食堂に、修平は夏輝を連れ込んだ。魚を焼く煙とタバコの匂い、それににわか雨のような揚げ物の音が騒がしい客の話し声と共に店の中に充満していた。

 がふがふがふ! 遠慮なく派手な音を立てて、丼飯を口に掻き込んでいる修平を、夏輝は呆れ顔で見つめていた。
 修平は手を止めて、目を上げた。
「夏輝、おまえ全然食ってねえじゃねえか。腹減ってねえのかよ」
「修平見てたら、お腹一杯になった」夏輝は微笑んだ。
 修平は肩をすくめて夏輝の前の玉子丼に手を伸ばした。「食わねえんなら、よこせ」

 がふがふがふ! 修平は二杯目の丼を口に豪快に掻き込んだ。
 夏輝はそんな修平の顔をずっと見つめていた。



 少し煮詰まった豆腐とわかめの味噌汁を一気に口に流し込んで、脂ぎってぎらついたテーブルに並べた二つの空の丼の横にその碗を置いた修平は、コップの水を一気にごくごくと飲み干すと怪訝な顔で夏輝を見た。「気持ちわりいな。何だよ。じろじろ見やがって……俺の顔になんかついてっか?」
「ごはんつぶが山のようについてるよ」夏輝は笑って、テーブルの紙ナプキンを修平に手渡した。
「済まねえな」

「おしっ! 腹も一杯になったことだし、出るか」修平が伝票を持って立ち上がった。「心配すんな。ここは俺が持つ」
「って、あんたしか食べてないでしょ」
「何にしろ、それが男の矜恃ってもんだ」
 夏輝は噴き出した。「男の矜恃ねえ……」

 修平は爪楊枝をくわえたままレジで代金を支払った。

「ごっそさん! また来っからな、おばちゃん」
「いつもありがとさん!」でっぷりと太った背の低い、三角巾を頭につけたおばさんが、にっと笑って修平と夏輝を交互に見た。「また二人でいっしょにおいで!」


 週末の賑やかな通りを修平と夏輝は並んで歩いていた。
「泊まっていけんだろ?」
「うん……」
「ちょっとコンビニ寄るぞ」修平はそう言って、丁度通りかかったところにあったコンビニに入っていった。夏輝も後に続いた。

 修平は特製冷やし中華を迷わず選んでかごに入れた。
「まだ食べるの? 修平」
 修平はそのまま無言で店内を歩き、飲み物の並べられた大きな冷蔵キャビネットの前に立った。そしてガラスの扉を開けながら夏輝に顔を向けた。「何が飲みたい?」
「え? あんたんちにあるものでいいよ。わざわざ買わなくても……」
「俺のアパートに今ある飲み物は蛇口から出るモンだけだ」
「な、なによ、それ……」
「ビールとか?」修平は缶ビールを手にとって夏輝を見た。
「なんで飲み物がビールになるんだよ」
「だっておまえ、すでに大人だろ?」
「え?」
 修平は自分の後頭部に手を当てた。「すまねえ、夏輝。二十歳の誕生日に何もしてやれなくてよ」
「……修平」
「飲むか?」修平がまた訊いた。
 夏輝はふっと笑った。「修平が追いつくのを待つよ。あんたの誕生日にいっしょに乾杯しよ」
 修平はにっと白い歯を見せて笑った。「そうだな」
「ジンジャーエールでいいよ。あんたも好きでしょ」
「わかった」


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