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貴方を、護りたい・・
【純愛 恋愛小説】

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彼の笑顔-4

「さぁ、着いたわよ」
3人を乗せた車が樹里奈の家の前で止まり、親子に案内され

それから母が夕飯の支度をするから、と言い樹里奈はしゅうを自室へ連れ待機する事にし
・・ただ女子の部屋に入り彼は少しその部屋に動揺を隠せずに居るようで顔を赤く染め
彼には幸子と言う今は千葉で大学で、ある夢を追って勉強中の姉が居て
その姉がまだ彼らの家に居た頃、時より姉の部屋に入る事はあった物の
それとこれとは状況が別・・と言う感じで

樹里奈は居間に蜜柑が在る事を思い出し彼を部屋に残し小走りで取りに行く事に
・・そして一人取り残されたしゅうは何の気も無く辺りを見回し

「・・蓮見サン」

彼は部屋で一人、何故自分にここまで親切にしてくれるのかを考えて居ると
彼女の机から気になる物が目に留まり、ふとベットから腰を上げ机に移動すると・・
ソコに「東京駅、往復」「チケット代二人分・・最悪一人分で・・」などの
メモ書きがあり、そのメモの中に「ゴンサドーレ札幌」というワードも含まれている事に
妙に他人事じゃないような気がし、ただただ視線がそのメモに留まって居ると

「お待たせーっ」
「!!」

慌ててベットに座り軽く返事をし彼女も彼の横に座り蜜柑を渡す

「どうしたの?」
「別にっ・・」


「美味しい?蜜柑・・」
「うん、中々甘いね」
気まずい空気の中、他愛も無い会話をし延々とし蜜柑を頬張る

「そういえばさっき転んでたケド大丈夫?腰とか打って無いっ?」
「・・ちょっと、痛むかな?シップ貼ってくれると嬉しいカナ・・」

彼のその言葉にまたも感激し目を輝かせさっそく小走りでシップを取りに再び退室し
そんな彼女の背中を微笑ましそうに見つめ


「はいっ、おしまいっ!」
丁寧に彼の背中にシップを張ってあげお礼を言うしゅう
「どう?少しはラクになった?」
「うん、お陰様で・・」

二人はお互いを見つめ会い和気藹々とするも途中しゅうが暗い表情でベットに目をやると
「どうしたの?何か心配事?」

樹里奈が彼を気に掛け顔を追うと
「良いよね・・・・ホント、君の家は・・」
「・・しゅう」

何処かやつれた彼は本音を彼女に吐く事に
「一昨年までは普通の家庭だったんだ・・丁度君の家の様に・・」
息を殺し彼の話を一つ一つ聞き逃さない様、真剣な表情で彼を見つめると

「おーーいっ、出来たぞーっ!!」
何時の間に帰ってきた父が二人を呼び、ちょっとバツの悪い樹里奈と、我に返る様に
話を止め、ベットを立ち居間へ急ぐしゅう・・


グツグツグツ

肉を煮込んだ鍋の上からもくもくと上昇する煙と共に辺りの気温が暖かくなる中
「はーい、お腹空いたでしょう!これも良かったら食べてー」
と、持て成ししゃぶしゃぶのテーブルに何故かオムライスと言う異様の組み合わせが
運ばれてきて

「もうー、何でしゃぶしゃぶにオムライスなのさ!似合わなーいっ!」
不服な娘に口に入れるものなら何でも一緒!・・と強引に言いくるめる母に父が

「だっはっはっはぁ、まぁー兎に角、食え食え!でないと俺が全部食っちちまうぞぉ」
と言い箸が鍋に突っ込み有言実行しようとする父に
「ちょっとぉ、やめてよー!先に目つけたのは私なんだからぁ」
「おーいおいおいおいっ、肉入れたのもその肉を買った金も元は俺の給料からだぞ?」
と文句を言い、親子喧嘩を始める二人案の定、鍋の上での肉の取り合いとなり

そんな二人の様子に苦笑いする彼、母がソコにやってきて彼に
「はい、しゅう君寒かったでしょう?良かったコレもドーゾ」

と言い、母は彼に温かい味噌汁を差し出して
「あっ、有難うございます」
そんな遠慮しないでっ!・・ほらっ今の内よお肉・・と勧めキッチンに戻り

今だに肉の取り合いをする二人を他所に肉を確実に取るしゅう
「あっ、そんなに取るな太るぞっ!」
「何よー、セクハラァーお父さんこそまたメタボるよ」
「何語だよ・・、大丈夫ですー俺は食べても太らない体質だから」
「あっはっは、何か言ってるよこの親父」
「親父と来たよっ、この娘」
「はっはっはぁーーっ!」

そんな他愛も無い親子会話を微笑みそうに見つめるしゅう


「ゴメンねぇー、騒がしくて」
夕飯を終え再び、冷たくも今は何処か涼しいげな夜風に当たり、樹里奈の家を後にする
彼を出迎える樹里奈

「ううん、とっても賑やかジャン」
「よしてよ、恥ずかしいじゃない・・」

母は案の定後片付けをし、父も残った仕事を片付けてて
「・・いいね、何だかとっても暖かくて・・」
「しゅう・・」
視線をアスファルトに落とし、ゆっくり・・一歩、また一歩、彼女との距離を放れ

「うちに帰りたくないなぁー、帰っても俺一人だし・・」
「・・しゅう」
今夜と言う楽しさに思わず本音を漏らすしゅう・・

「・・・・だったら」
唇に力が入り、そして

「だったら、何時でもおいで・・家に・・」
「えっ?」

「そしたら私、と言ってもぉいっつも肉って訳には行かないけどね・・」

目を開きその視線は彼女の女神の様に優しい表情一点に絞られ無意識に足が彼女の
元へ歩み寄る

「私、こんな事しか出来ないケドあんな家で良かったらっ!?」

話を遮り彼は樹里奈を突然抱きしめ・・

「・・・・ちょっと、しゅう?」

強く抱きしめて彼女の体を離さない彼・・、その手は震え、小さく彼の泣き声が聞こえ

「・・・・いいね、いいよね家族って・・家族ってさぁっ!!」
「・・しゅう」

「ありがとう・・ホントに・・!俺を・・こんな俺を助けようとしてくれて・・」

今だ手の震えが収まらず、それを宥めようと彼女も強く彼を抱きしめ
樹里奈はそんな彼にゆっくりと優しい口調で言う




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