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歪愛
【兄妹相姦 官能小説】

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幸せな1日-3

池の手すりから今にも身を乗り出すかのような勢いで餌をやっている杏樹を、大輔は微笑ましい気持ちで眺めていた。
不意に夏の終わりを感じさせる少し物寂しい風が吹いた。その一陣の風は杏樹の長く、つややかな髪をもてあそぶようにふわりと持ち上げた。いつもは隠されている杏樹のうなじが見えて大輔はどきりとし、見てはいけないものを見たような背徳感からなんとなく目を反らす、が。
(ん?)
一瞬、その白い首筋にいくつもの赤い印が見えた気がして、大輔は再び視線を杏樹の首筋に戻した。
しかし、いたずらな風はすでに立ち去った後で、いつも通り絹のような黒髪に隠れてしまい確認することはできなかった。
「ねぇ杏樹…」
彼は彼女に歩み寄りながら痕について尋ねようとしたが、
「ん?何っ?」
とあまりにも無害な笑顔で振り向かれてしまっては事の真相を聞くのは躊躇われ、
「ううん、何でもない」と曖昧な微笑で濁すに留まった。

「すっごく楽しかったね」
あれから色々な場所を見て回るうちにいつの間にか日が傾きかけて、空は綺麗なグラデーションを描きながら青からオレンジに変化しつつあった。
「ほんと?それなら良かった。杏樹といるとあっという間に時間が過ぎるんだよね」
手をつなぎながら街灯がつき始めた並木道を二人で並んで歩く。
(本当はもっと一緒にいたいけど…)
しかし叶わないということはのは杏樹が一番理解している。家に帰って夕飯をつくり、今日一日で溜めてしまった家事をやらなければならない。
それを分かっているから大輔も日が落ちる前に杏樹をこうして家まで送り届けているのだ
(普通の女の子だったらもっと、大輔くんを楽しませることができるのかな…)
基本的にはいつも楽観的な杏樹だが、でもやはり彼にまで自分の事情を押し付けていることを気にしていないといえば嘘になる。
隣の大輔を見上げれば、その横顔はただ手をつないで歩いているだけなのにどこか楽しげで、杏樹はより一層切なくなった。
その切なさのままに、ぎゅっと繋いだ手に力を込めると彼は不思議そうにしながらも杏樹より少し強い力で握り返してくる。彼女はその手のぬくもりだけで胸がふんわりと軽くなるのを感じた。
「なんで大輔くんはいつも、わたしがしてほしいことがわかるんだろう?」
それは問いかけというよりは独り言に近かったが、大輔はゆるく微笑んで
「それは杏樹のことが好きだからじゃない?」
と当たり前のように答えた。杏樹はそれ以上言葉を紡ぐことはせず、ただ大輔の腕に体重を預けながらいつもよりゆっくりと帰路を歩んだ。

「今日は本当にありがとう」
自宅の前に着いて杏樹は名残惜しそうに大輔の手を両手で握った。
「こちらこそ、楽しんでもらえてよかったよ」
彼は爽やかな笑みを浮かべたが、数拍後には笑みを消して真面目な表情になった。
「杏樹」
名前を呼ばれて優しく背中に腕を回される。彼女も彼の大きい背中に腕を回すと、壊れ物を触るかのようにそっと頭の後ろに手を添えられる。
お互いに自然と顔を近づけて目を閉じ、軽く、唇が触れるだけのキスをした。
彼の気配が遠のき、ゆっくりと目を開けると、そこにはいつもと変わらぬ恋人の眩しい笑顔があった。
「また学校で」
「うん」
いつも通り彼の背中が見えなくなるまでその姿を見送り続けた杏樹は、二階のベランダから彼と彼女を見下ろしていた影があることに全く気が付いていなかった。


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