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歪愛
【兄妹相姦 官能小説】

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彼女の日常-1

「いつも送ってくれてありがとう。大輔くん、また明日。」
夕日が空を見事な茜色に染め上げる頃、一般的な家庭よりも少しだけ豪勢な自宅の門に手をかけながら杏樹は笑顔で自分の恋人に手を振った。
「気にしなくていいっていつも言ってんのに!…また明日」
そう言って清々しい笑顔で手を振り、踵を返して歩いていく大輔の背中を見送り続け、曲がり角で彼の姿が見えなくなってから家の扉を開く。
「ただいま」
杏樹の帰宅のあいさつには誰の返事も返ってこなかったが,彼女は気にした風もなく履きなれたローファーを脱いで玄関に上がる。
トントンと軽快な音を響かせて螺旋階段を上り、兄2人の部屋に挟まれた自分の部屋に入る。地元ではかわいいと評判の制服をそそくさと脱ぎ、ハンガーにかけ,スカートの襞を整えるのも忘れない。
「今日の晩御飯はなににしようかな」
ラフな部屋着の上からエプロンをかけながら思案の声を上げる.
「あ、そういえば颯太は友達の家にお泊りなんだっけ…」
ということは夕飯に揃うのは一番上の兄と自分の二人だけだ。
彼女はすぐさまメニューを考え直す。
「揚げ物は却下」
そう呟いてから静まり返っている廊下を鼻歌交じりにすたすた歩く。
この家には杏樹と二人の兄、そして父の四人暮らしだ。母は杏樹が小学生の時に事故で他界した。
「隆兄さんだけだったら何かさっぱりしたものがいいかなー」
頭に献立を思い浮かべながらダイニングを横切りキッチンに入ろうとしたと時、朝にはなかった白い封筒がテーブルに置かれているのが目に入る。
「…」
杏樹は表情をみるみる曇らせながらその分厚い封筒を手に取って中をのぞき込む。
彼女の予想通りその封筒の中身は一般的な女子高生はまず手にする機会がないであろう大量のお札だった。
しかし杏樹は喜ぶどころか泣きそうなほどに顔を引き攣らせた。
「…帰ってきたなら少しくらい顔見せてくれてもいいのに」
その封筒をそっとテーブルに戻しながら消息不明の父に愚痴をこぼした。
この大金は杏樹達の父が彼女らの生活費として置いていったものだということを杏樹は今までの経験から知っていた。昔はその旨が封筒に書かれていたのだが最近ではその走り書きですら姿を消してしまった。
(『生活費にしなさい』って書くぐらいの時間はあるでしょう)
自分たちにはその短い時間を割く価値すらないというのだろうか…。
杏樹の父はほとんどこの家に帰ってこない。帰ってきたとしても、家に誰もいない時間帯にこうして大金を置いていくだけ。
「もう一年近く、父さんの顔を見ていないかも」
包丁を握って慣れた手つきで野菜を切りながら彼女は無意識のうちにため息をつく。
杏樹達の母が死んでからというもの、彼女の父は一変してしまった。
欠けてしまった『何か』を必至で埋めるかのように仕事に打ち込むようになったのだ。月日が経つにつれて徐々に帰宅する回数が減っていき、今に至っている。
もちろん、父に会いたいという気持ちはあるし、口には出さないが兄2人も同じように思っているはずだ。
しかし杏樹は、父の行動はが母を深く愛していた証、悲しみが深いが為のものだ、と理解している。故に父にただ一言「帰ってきてほしい」と告げることは彼女にとってはあまりにも難しいことなのだ。
かくして杏樹は『四人暮らし』とは名ばかりの兄達と三人での生活を送っていた。
「母さんはいないから、せめて父さんには家にいてほしいのに…」
深い悲しみについに包丁を持つ手が止まりかけた時、「ただいま」という聞きなれた穏やかな声が玄関から届いた。
彼女は瞬時に沈みかけていた思考を頭の隅に寄せ、下がっていた目線を上げて後ろを振り返る。
「おかえりなさい、隆兄さん」
満面の笑顔でキッチンに入ってきた男を迎え入れる。
「ただいま、杏樹」
彼はもう一度同じ言葉を繰り返してやさしく妹に微笑んだ。彼は固く結ばれているネクタイを解き、鞄をイスに置いたところで目敏くダイニングテーブルの上に置かれたままの封筒を見つける。
「…父さん、帰ってきてたんだね」
「…うん、そうみたい」
2人の間にどこか諦めたような空気が流れた。
「…そういえば今日隼太は?
いつもならもう帰ってきてる時間だよね?」
彼は重苦しい空気を変えるために普段よりも1トーン明るい口調で言いながら壁に掛けられている時計に目をやった。
「ああ、今日は友達の家に泊まるらしいの」
「………ふーん、そうなんだ」
不自然な間を空けてから隆一は相槌を打った。彼の瞳が一瞬だけ、普段の柔らかい雰囲気を消し、代わりに妖しい光を帯びたのに、杏樹は気づいてたがすぐに目をそらし、見て見ないふりをした。

二人きりの食事を終え、台所で食器を洗っていると突然後ろから腕が伸びてきて抱きしめられる。
「!!」
杏樹は驚いて危うくお気に入りの皿から手を滑らせるところだった。首だけで振り返るとすぐそこにさっきまでリビングでテレビを見ていたはずの兄の整った顔がある。
「ちょっと!これじゃあお皿洗えないよ」
冗談交じりの口調で抗議しながら、しかし内心では冷や汗をかいて兄の腕を振りほどこうともがいた。
しかし、杏樹が抵抗するほど、兄の腕に力が入りその中にきつく閉じ込められてしまう。
「杏樹」
ひどく掠れた声が耳に吹き込まれる。
杏樹がくすぐったさに身をよじると同時にエプロンの上から兄の手が彼女の胸をまさぐった。


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