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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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深夜の来訪者-6

「小夜さんって責任者任されるの早いですよねえ。店長よっぽどしごいたんですか?」


「んー、結構スパルタだったよ。まあ、お陰で早く仕事覚えられたんだけど」


「あの店長、ホントに怖いんですかあ? あたし信じられませぇん」


「知らない方がいいって。キレた店長、マジヤバイもん」


楽しそうに談笑する二人。


俺だってスウィングでバイトしてたから、店長がキレた時の怖さも知っているし、小夜からバイトの話を聞いているから、彼女が異例のスピードで責任者教育を受けたのも知っている。


もちろん、未だに連絡を取っている店長からも、松本から逃げなかった根性を買われて、責任者に育てる話は聞いていたし。

話に加わろうと思えば、いくらでもできる。


でも、今もスウィングでバイトを続けている小夜と松本が話を弾ませているのを見れば、どうしてもそれが出来ないんだ。


二人が話す、松本目当てのおっさん常連客も知らないし、3ヶ月前に入ったイケメン新人アルバイトのオノデラくんの顔も知らなければ、失敗談だって知らない。


俺だって小夜と二人しか知らないことはたくさんあるのにな。


小夜と二人でいればすごく上手くいってるのに、松本が割り込んで来ると、途端にバランスが崩れちまうのは何でだろう。


俺の知らない話題で盛り上がる小夜をチラリと見ると、カラカラと屈託の無く笑っていて、松本に対してイライラしてしまう。


俺の知らない小夜を、松本が知っている、それだけで胸がざわつくんだ。


相変わらずスウィングの話題で盛り上がる二人を尻目に、俺は今度はジントニックの缶をプシュッと開けて、口に運ぶ。


かと思えば……。





「小夜さん、見てくださいコレ」


「えー、この限定コフレ、買えたの!? どこで買った?」


「地元の駅ビルで売ってたんですぅ」


「うっそ、いいなあ。このファンデーションのケースめっちゃ可愛いんだよね」


「でもファンデはあたしリキッドの方が好きなんですよね。もしよかったら、ケースあげましょうか?」


「ええっ、ダメだよ。高いだろうし、里穂ちゃんが自分で使いなよ」


「だって、あたしホントにリキッド派なんですもん。それにこれなら小夜さんが使ってるファンデとメーカーが一緒だから、レフィルだけ替えれば使えますよ?」


ここまで来ると、男の俺には宇宙語にしか聞こえない。


コフレ? レフィル? なんだそりゃ。


つーか、お前らさっきまでバイトの話してただろうがよ!


コロコロ変わる話題についていけない俺は、早々にジントニックを飲み干して、今度はモスコミュールに手を伸ばした。


すっかり蚊帳の外の俺は酒を飲むしか出来ないのだ。


……全くもって、つまんねえ!




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