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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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深夜の来訪者-5

そして彼女は小夜に向かって、「好きになってしまった」と爆弾発言をしたのである。


何でも、松本が以前椅子から落ちそうになった時に、小夜が身体を張って助けてくれたり、ひどい態度を取り続けていた自分から逃げずに向き合ってくれたから、好きになったそうだ。


それを聞かされた時のみんなの衝撃はものすごいものだった。


いやいや、アンタこないだまで俺を好きって言ってましたよね?


結構露骨に俺にアピールしてましたよね??


そして何より、アンタは小夜と同じ「女」ですよね???


突っ込みどころはいっぱいあったけど、当の松本は小夜に許してもらえたことが嬉しかったみたいで、「家に泊まりに来て」と、早速粉をかけてるし、小夜も小夜で、危機感がないのかニッコリ笑いかけてるし、みんなは何だか面白おかしくこの成り行きを見守っているし。


お前らこの状況がどんだけ異常なのかわかってんのか!?


もはやまともなのは自分だけと、俺は必死になって小夜を守ろうとしていた……のに。




結局このザマで、今に至る。




「小夜さん、次のシフトもう出しました? ゴールデンウィークは実家に帰るんですか?」


「ううん、ゴールデンウィークは後半人が足りなくなるみたいだから、出るつもりだよ」


「やったあ、じゃああたしも希望出しとこっ! 小夜さんが責任者の時は安心するんですよねー」


なんて、小夜の腕に自分のそれを絡ませる松本。


二人の乙女がお菓子をつまみながら楽しそうにバイトの話で盛り上がっていると、どうしても俺は仲間外れ扱いになってしまう。




そもそも小夜は、俺の送別会の日にスウィングを辞めるつもりでいたんだとか。


だが、松本と和解したことにより、バイトを辞める話が流れてしまった。


そりゃそうだ、今までは松本のひどい態度がストレスの原因となっていたのにその元凶の態度が180度変わって、辞める理由が無くなったのだから。


でも、今度は違う意味で心配だ。


松本は隙あらば小夜に近づこうとしているし、危機感の無い小夜は懐いてくれる松本が可愛くて仕方ないらしいし。


……早まってスウィングを辞めるなんて言わなきゃよかった。


と、後悔の日々を送ることになった俺。


そんな俺に小夜は、


「あたしも里穂ちゃんも女同士なんだし、どうにかなるわけないじゃない」


と、ケラケラ笑うだけ。


もちろん小夜のことは信じてる。


だけど、だけどなあ……。


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