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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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深夜の来訪者-4

あれは、忘れもしない、スウィングを辞める俺のためにみんなが開いてくれた送別会の日だった。


居酒屋の一室を貸切りにして、楽しい宴を繰り広げ、終盤に差し掛かった時のこと。


送別会を欠席していた松本が、突如現れたのだ。


何かを決意したように真っ直ぐ小夜を睨み付ける松本。恐怖で身体が竦んで動けない小夜。水を打ったみたいに静まる会場。


その時の緊迫した空気は、言葉に出来ない程だった。


あの時の松本の思い詰めた表情は、本気で小夜を刃物か何かで刺してしまうのではないかというほどで、俺は慌てて小夜と松本の側に駆け寄った。……が、その刹那。


――なんと松本は、俺の目の前で小夜にキスをしていたのだ。


背伸びして小夜の両頬を押さえつけての妙に艶っぽいキス。


あまりに現実離れした目の前の光景に、俺も周りも唖然と固まってしまった。


でも、そんな俺が我に返ったのは、松本の唇が少し開いて、その赤い舌が小夜のそれに侵入しようとした所。



「ま、松本! お前何してんの!!」


俺は慌てて松本の身体を小夜から引き剥がした。


だって、松本は小夜を憎んでいて、二人は女同士で、何で人のカノジョに手を出して……。


言いたいことはたくさんあるはずなのに、目の前の光景に脳が追い付いていなく、ただただ口をパクパクさせるだけの俺。


しかし、松本は俺の事なんて目に入らなかったらしく、いきなり小夜に向かって深々と頭を下げた。


そして彼女は、みんなの前で今までのひどい態度を詫びた。


どういう心境の変化でそうなったかはわからないけど、松本の涙ながらの謝罪は、小夜を始め、みんなの胸を打ったようである……俺を除いては。


やがて仲直りの握手を交わして和解した二人に暖かい拍手が送られた。


周りはこれでめでたしめでたし……と締めたかったみたいだが、俺は騙されねぇ!


だって、小夜は俺のもんなのに、何で他人の松本が、しかも女の松本が、ちゃっかりキスしちゃってんだよ!


しかも、舌を入れようとしてたのを俺は見逃さなかったぞ!


ホントは松本を殴ってやりたいほど腸が煮えくりかえっていたけれど、相手が女ってのもあり、努めて冷静に問うたが。


あろうことか、あのアマ、


「ああ、これですか?」


と、俺に向かって不敵な笑みを浮かべてから、再び小夜にキスしやがったのだ。







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