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傍らに咲く花
【同性愛♀ 官能小説】

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深夜の来訪者-3

梅、桃、グレープフルーツ……色んな味の缶チューハイや、カシスオレンジ、ジントニック、モスコミュールなどの缶カクテル。さらにはミックスナッツやサラミなどのつまみ系に加えポッキー、キットカット、プリングルス……。


テーブルの上に並んだ松本の手土産を見るだけで胸焼けがしてきそうだ。


これらは全て小夜の好きな酒や菓子だとか。


小夜の好みを網羅したこの手土産。やっぱり松本は小夜のことを本気で好きなのだろうか?


「小夜さん、ポッキーゲームしましょ!」


「い、いや、さすがにそれはまずいでしょ」


ポッキーの先端を咥えた松本に迫られて、タジタジになる小夜。


そんな二人を見ながら、俺の人生最良の日がどうしてこうなるんだ、とヤケクソになりながら俺はまた甘ったるい酒を喉に流し込んだ。





そもそも最初は俺のことを好きだったと言う松本は、紆余曲折を経て付き合うようになった俺と小夜のことを認めなかったらしい。


特に小夜には、松本と俺との仲を取り持ってほしいと頼んでいたこともあり、裏切られた感でいっぱいだったとか。


まあ、気持ちはわかるけど、俺の気持ちはずっと小夜にだけ向いていたし、どうにもならないことだってあると思う。


だから、松本に対して俺達が出来ることは、彼女と距離を置くことだと、そう思っていた俺はスウィングを辞めることを決意した。


一方小夜は、松本に謝罪して、彼女のそばでいつまでも罪悪感に苛まれているのが誠意だと思っていたらしい。


後にそれは松本が望んだ償いのカタチだと知った俺は、何度も小夜にスウィングを辞めるよう説得した。


俺と松本は付き合っていたわけじゃないのに、ひたすらに理不尽なその要求。そんなの小夜が可哀想過ぎるじゃねえか。


なのに、クソ真面目な小夜は松本の言いなりになって、八つ当たりされるだけの、辛い時間を耐えていた。


俺に心配させまいと、俺の前では元気に振る舞う小夜だったけど、その空元気が痛々しくて、正直松本に殺意さえ覚えたほど。


どうせ小夜がいくら頑張ったって、松本の態度が変わらないのは目に見えていたから、スウィングの店長や、小夜と仲がいいバイト仲間の力石絹子(りきいしきぬこ)に、何とか小夜を説得してもらうよう頼んだりもした……が。


事態はある日、思いもよらぬ方向に転がった。








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