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蔵の嗚咽
【近親相姦 官能小説】

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第一章-4

 平屋建ての母屋には居間の他に部屋が五つあった。その他に敷地内には別棟の離れがあり、二部屋と台所がついている。生前祖父母が生活していた所で、私たち家族はいつもそこに寝泊まりした。
 兄たちが帰って一人になるとさすがに離れでは怖くて母屋のどこかに寝るのだが、伯父夫婦の部屋以外は常に空いているので私はあちこち替えては楽しんでいた。探検するような面白さがあった。母屋だから必ず近くに誰かいる。古い人形や置物があっても怖いとは思わなかった。

 伯母にはよく一緒に寝ようと言われたものだが、一度で懲りてしまった。私の名を何度も呼びながら痛いほど抱きしめるのである。その上、おでこやほっぺを舐めてきたりする。これには閉口して、以来誘いには乗らなかった。
「今日も一人で寝るの?怖くない?」
「平気。大丈夫」
きっぱり答えると伯母は淋しそうな顔を見せた。

 タエが寝起きしていたのは北側の六畳間である。ふだん使わないテーブルや座布団などが置いてあって実際は半分ほどの広さしかなかった。
 寝る前に部屋を覗くと、タエは必ずにっこり笑って、
「明日は何して遊ぼうか」と手まねきした。
「そうだなあ……」
のこのこ入り込んで布団に座る。
「何しようか……」
いろいろ考えるのだが、すぐに眠くなってしまう。目がとろんとしてくるとタエが背中をさすってくる。
「お布団行きましょ」
腕を引かれて部屋まで連れていってくれる。結局そのまま眠ってしまうことになる。

 ある夜、珍しくトイレに起きた私は小便をしながら何か聴こえたような気がして耳をそばだてた。多少寝ぼけていたと思う。
(猫?……)
ぼんやり思ってから、ちがうことに気づいて目が覚めた。
(人の声だ……)
まるで泣いているような苦しそうな声が切れ切れに聴こえてくる。
 ぞっとしてトイレを出るとわざとゆっくり歩いた。急ぐと後ろから何かに襲いかかられる気がした。
 タエの部屋の襖を開けるとどっと疲れが出た。
「タエ、怖いよ」
布団に潜り込んでふたたび恐怖に被われた。
(タエがいない!)
布団は温かい。汗で湿っている。トイレに行ったんだと思った。小便所の隣に大便所がある。女だから、
(きっとあそこにいたんだ……)
そう考えるとほっとして、そのままタエの布団で眠ってしまった。

 翌朝、目覚めるとタエはいなかった。居間に行くと伯母と一緒に朝ごはんの支度をしていた。
「おはよう、坊ちゃん」
あれから戻ってきたのだろうけど憶えていなかった。


 次の日からタエは一緒に風呂に入ってくれなくなった。私には理由がわからず、
「タエ、入ろうよ」
夕方、付きまとっていると、意外にも伯母の怒ったような言葉が飛んできた。
「隆司ちゃん、ちょっとしつこいわよ。一人で入れるでしょ」
伯母に諌められたのは初めてである。言葉以上に強い調子を感じて私は黙ってしまった。

 なぜ伯母があんなに怒ったのか。その時自分なりに考えたのはタエのオッパイを触ったことだった。
(タエが告げ口したんだ……)
その日もお風呂で触ろうと思っていたのである。私は顔に熱を感じながら掌に残る乳房の感触を思い出していた。

 風呂の件は別として、タエは何ら変わることがなかった。私も彼女を恨んだり嫌ったりする気持ちは微塵もなかった。寝る前に部屋を覗くとこれまでと同じ笑顔が迎えてくれた。
「坊ちゃん、ちゃんとお風呂入ったか?」
私は頷きながら部屋に足を踏み入れたものの、突っ立ったまま、
「入ったけど、ぼくとお風呂入るの、厭なの?」
タエはきょとんとした顔をして、
「いやじゃないよ」
言っている意味がわからないように首をかしげた。
「だって、伯母さんが一人で入れって」
「うん、言われた。坊ちゃんはもう大きいから面倒みるのはよくないって」
「他には?何か言ってた?」
「言わないよ」
「タエも言わなかった?」
「あたし、何も言わないよ」
(それじゃタエは告げ口していない……)
その頃の私にはそれ以上憶測する思考力はなかった。
(よかった……)
安心感だけが胸に満ちた。

 思うに、伯母は私たちの行為を見ていたのだろう。風呂場の隣は台所で話し声は筒抜けである。境には小窓もある。伯母はきっと私たちが戯れるのを見ていたにちがいない。それは後に思い当ったことである。


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