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LADY GUN
【推理 推理小説】

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上原若菜-3

 容疑者を確保した静香は応援要請していた警官を待つ。深く溜め息をついた後に地面に腰を抜かしてへたり込んでいる若菜の腕を掴み立たせる。
 「大丈夫??」
 「だ、大丈夫じゃないですぅ…」
殆ど半泣きだ。思わず笑ってしまいそうなぐらいの情けなさだ。
 「あのね、こういう時はダメでも無理して大丈夫って言うものよ?」
 「ダメなもんはダメですぅ…」
 「て言うか、何でこんなものを持って捜査にでかけるかなぁ…。」
未だに地面でうねるバイブを見て溜め息をつく。
 「だ、だって…これ使ってる時に先輩が急に呼び出すから慌ててポケットに突っ込んで…」
 「いやいや、職場に持ってこないでしょ、普通…。」
 「だってぇ…」
その時ようやく応援の警官が来た。
 「ほら、さっさと隠しなよ。」
 「はい…」
慌てて拾い上げポケットにしまう。
 「ご苦労様です。連行お願いします。」
 「はい!」
警官は容疑者を掴み連行する。すれ違い様にニヤニヤしながら若菜に言う容疑者。
 「ネーチャン、今度俺にバイブ使わせてくれよな!ヒヒヒ!」
 「うるさい馬鹿!死ねっ!」
 「あっ!?」
 「ひゃっ!」
容疑者に凄まれると若菜は静香を盾にして身を隠す。
 「ハァァ…」
溜め息をつく静香。子供が警察ごっこをしているようなレベルの後輩に頭を痛める。
 「じゃあ私達も署に戻るわよ?」
 「はい!」
2人は署に戻る。若菜が報告書をまとめている間、静香は容疑者への取り調べをこなしていた。皆川静香は優秀な刑事だ。全国でもその名を響かせている。特に女性刑事、婦人警官の教育には力を入れておりまだ27歳ではあるが将来の警視庁の幹部候補と噂されている。そんな静香を若菜は尊敬している。静香が若菜の教育係を申し出た事はみんなが驚いた事だった。刑事志望ではあった若菜だが、その能力のなさに交通課や事務へ配属変えされる寸前の所を静香が拾った形だ。なぜそうしたのかは誰もが謎に思っていた。その理由は静香とある一部の刑事以外は知らない。
 「先輩カッコいいなぁ…」
取り調べをする静香を見ながら惚れ惚れする若菜。

 これはアイドルのような可愛らしい顔をした気の弱い、そして心の優しい新人女性刑事が笑顔を失い復讐の銃弾を放つ事のみに人生をかける事になる悲しき物語である。


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