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煌めきのした
【OL/お姉さん 官能小説】

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煌めきのした-3

「安全日とか・・そんなのかい?」

「ちがうわよ。そうね・・何かの記念・・」

「何の記念日だったっけ?」

私は実際、記念日にこだわった。はじめて誘われた記念とか、指輪を買ってもらった記念とか・・・
とるにたらない事ばかりだけど、彼はこういう事を覚えているのが苦手なので意地悪して困らせてやるためだった。

「今日をまた記念にするのよ。」

「またぁ・・覚えられないよ。」

「あなたの赤ちゃんなら、産んでもいいかな・・・」

オッパイを揉まれると胸いっぱいに吸い込んだ彼の匂いが乳首の先端から逃げ出してしまうような切なさに包まれた。
唇にもう一度触れ、背中を翻して後ろから突いてとせがむ。




「実はちょっと、まずい事になってるんだ。」

背中を向いて股間を拭う私に彼が話しかけた。

「女房にこんなものを送りつけたやつがいる。」

それはA4の紙切れに横書きに印字された文章だった。


突然このような書面を送りつけました不躾をお許し願います。
あなた様のご主人様でいらっしゃる川田課長が同課の三上絵津子と親密な関係にあるという事が社内の一部の者によって囁かれております。
事実は如何なものであれ、このような風評が広まっては社内に良い影響を及ぼすものとは到底解釈できませんし、なにより川田課長の進退を案じました末、こうして奥様にご忠告申し上げました次第でございます。
噂はあくまでも噂ではございますがどうぞ冷静なご判断でご主人様とお話合われて、問題の収拾を切に願います。

私はその紙面に目を凝らせてみた。
宮沢賢治だったか・・・キツネが子供に宛てた招待状を思い出す。
もっともらしいがよくみると稚拙な文章だった。

「これは?・・・」

「社内の誰かだろう・・心あたりはないか?」

「思いあたらないけど、うっすら気づかれているような気もするわ。だけど、こんな事するなんて・・・」

「とにかく・・・しばらく控えた方がいいだろう。」

「もう、終わりなの?私たち・・」

彼は服を着ける手を停めてため息を漏らす。

「そうじゃないさ、せめて誰が何のために仕組んだものか目星をつけるまで慎重をとった方がいいだろう。」

ホテルの部屋には窓がない。
男と女はこんな時に暗い空に見えもしない夜空を求めるものかも知れない。

「別れてあげてもいいわ・・・だけど最後にひとつ欲しいものがあるの。」

「欲しいものって?」

その夜、私たちは同じ車に乗り込み、いつもならうちの近くまで送ってもらうはずが私は駅で降りて普段の日と同じように定期券を使った。
そう、流れゆく車窓の景色のようにほとんどの日はこうした日常を繰り返して過ごしている事になにも変わりはないのだ。


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